仙丈ヶ岳~塩見岳縦走
日時:2023年8月3日-6日
メンバー:L A山、Y村、M原
- ルート:
- 【8月3日】戸台口6:00=北沢峠6:50発-4合目8:00-小仙丈ヶ岳9:20、30-仙丈小屋10:25(泊)
- 【8月4日】出発4:00-仙丈ヶ岳4:30-大仙丈ヶ岳5:05-伊那荒倉岳7:08-独標7:42-野呂川越8:41-三峰岳11:35、55-熊ノ平小屋13:00 (テント泊)
- 【8月5日】出発4:10-安倍荒倉岳4:53-竜尾見晴5:30-新蛇抜山6:05-北荒川岳7:10、30-雪投沢源頭8:20-北俣岳分岐9:05-塩見岳東峰9:30、50-塩見小屋10:55-本谷山2:25-三伏山13:08-三伏峠小屋13:30(テント泊)
- 8月6日】出発5:00-鳥倉林道登山口7:06-駐車場7:45、9.00(タクシー)=戸台口10:30=帰宅
【8月3日】
19時にY村さんの車で東京を出発、M原さんをピックアップして、中央道から杖突峠を経て、24時に戸台口の駐車場に着く。暗くてよく分からなかったが、山側が大きく拡張されていたので端にテントを張る。今回の仙塩(せんしお)尾根ルートは、自分は4回目、M原さん、Y村さんが初めてだったが、二人は前の土日に早月尾根に登っているので、その体力には恐れ入る。4時過ぎには撤収し、装備を分けて、バス停に並ぶ。お盆前の平日だが50人程の行列ができる。バスが定刻より早めに運行開始、ただ水も入れて20kg超のザックを膝に抱えての1時間は、さながら江戸時代の拷問のような苦しさだ。登山者で賑わう北沢峠を7時前にスタート、M原、A山、Y村の順で登り始める。
【8月4日】
◇3時起床、音を立てないようザックを持って2階の食堂に移動し、朝食を食べる。今回は朝食は各自にしたが、M原さんは3日ともカレーメシとのことで、コンパクトなので感心する。行動用の水は3.5ℓあったが、あと500cc追加したかったが小屋番が来ないので諦める。ライトを着け東側の尾根道から仙丈ヶ岳に登り、日が出始めた暗がりを仙塩尾根に突入する。赤く染まり始めた空と薄墨の雲海をバックに甲斐駒、早川尾根が黒く浮かぶ。大仙丈ヶ岳に向う道で振り向くと、アサヨ峰付近から赤い日が昇った。
周囲には、珍しく鹿に食べられていないお花畑に、トウヤクリンドウやヨツバシオガマ、チシマギキョウがきれいに咲いて目を楽しませてくれる。M原さんは二日酔いと言っていたが、好調に歩く。大仙丈ヶ岳の山頂から、雲海に浮かぶ中央アルプス、御岳、北アルプスの連なりと、稜線の重なりの遠くに見える塩見岳、さらにその奥の南部の山陰に見入る。暫く気持ちの良い稜線歩きが続き、緑に染まった景色を楽しみながら歩く。窪地に入ると足下には白い地衣類が群生していて不思議な感じがする。
下って樹林帯に入ると、伊那荒倉岳の三角点を通過し、さらに下ると水の涸れた高望池に着く。草地の間にゴミが散らかっているが、古いものが目立つ。この先は5年前に歩いた時は台風で倒木だらけで登山道も覆われていたが、倒木が伐採されて整備されていた。登り返して展望のある独標に出ると、仙丈ヶ岳が意外に離れて見えた。樹林を1時間ほど下っていくと、両俣小屋の分岐がある野呂川越の道標に着き、ここから三峰(みぶ)岳への長い登りになる。樹林が切れると青空に尖った岩峰が遠くに見える。M原さんが先行するがなかなか間が詰まらない。ガマンして稜線を登りきると間ノ岳との分岐があり、回り込むようにして岩場を登ると三峰岳山頂、11時35分着。間近に見える間ノ岳を挟んで左手
に北岳、右手に農鳥岳、白い夏雲の下には遠くなった仙丈ヶ岳、そして行く手には塩見岳と、苦労して登った頂から見る景色は美しい。ただ雲が出てきたのでのんびりもしていられず、熊ノ平小屋に下っていく。小屋に近づくと、鹿が食べ残した下草とコバイケイソウだけの草原が広がり、誰もいないキャンプ場に13j時に着く。Y村さんが木陰の平地を見つけてくれて、テントを張り、ビールなどを購入して一息付いた頃に、夕立が激しく降り始めた。ビールで乾杯し、夕食はスープパスタを作り、2日目も無事歩いた開放感に浸りながら、楽しく飲んだ。この日も16時過ぎには寝入ってしまった。19時頃に雨が止んだので、モバイルの電波が入るキャンプ場の端まで行って、明日の天候を確認し、再び寝る。
【8月5日】
◇2時半起床、今日は塩見を超える長いルートなので4時過ぎに出発、稜線に出ると甲斐駒と三峰岳がオレンジの空を背景に黒い切り絵のように見え、行く手には丸いドーム状の塩見岳がまだ遠くに見える。
安倍荒倉岳は見過ごしそうな山頂だが、樹林のすき間からは雲海に中央ア、北アが浮かんで見える。
起伏の少ない樹林歩きでは先頭のM原さんから昨晩見た妖しい夢の話とか次々に出てくるので、妄想百名山が書けるのではと笑ってしまう。竜尾見晴、新蛇抜山と展望台からは塩見岳がまだ遠く見えるものの今日登れば、と思うと元気が出る。北荒川岳で森林限界を出て、塩見岳を正面にみながら展望の稜線歩きになる。崩壊地を右側に見ながら旧キャンプ地の草地を経て、「キャンプ禁止」の表柱のある雪投沢源頭の鞍部で休憩し、塩見までの標高差300mを仰ぎ見る。北俣岳分岐まではアキレス腱が痛くなる程の急傾斜が続き、ここからは塩見岳東峰があと一息の距離になり、後ろのY村さんに追い越されないよう頑張って登り切る。9時30分到着、連なる尾根の先に仙丈ヶ岳が遙か遠く見えるのが、これまで歩いてきた距離を実感できて感慨深い。Y村さんとM原さんは1月に登っているので、感慨も一入だ。みかんを配給して、周囲に見える山を特定しながら景色を堪能する。西峰との間でベンケイソウ、ヨツバシオガマを見つけ、鹿もここまでは登ってこないようだ。下りの岩場で危なっかしい男性ソロがいたので、M原さんが丁寧に下り方を指示して事なきを得る。下から女性だけのクラツーの団体が登ってきたので、M原さんが早速、先頭の女性ガイドに「仙丈から登ってきた」と嬉しそうに言うと「ああ、バカ尾根ですね」と切り返されていた。1時間ほど下って塩見小屋、樹林帯に入りトラバースから登り1時間ほどで本谷山、さらに三伏山の登り返しがきつい。お腹の調子が悪いので二人の後から、ポツポツとにわか雨の中、やっと三伏峠小屋につく。テント場は学生の団体も居たので大分埋まっていたが、4人用エスパースの広さを確保し、本降りの前に設営する。テン場受付に行ったY村さんからは、ビール、水等の飲料は売り切れとの悲報がもたらされる。ただまだワインが残っていたとのことで、Y村さんは酒調達係、M原さんと自分で水汲み係と手分けした。水場に行く途中の鹿除けフェンスが2箇所張ってある所で、片側の網が破れたようで高山植物は全く無くなっていた。水場からの帰りに雨が本降りとなった。
テントに戻って、最後に買い占めたワインで乾杯し、スパイスカレーとピーマンのサラダを作って、仙塩尾根完走を祝った。雨は16時頃に止み、同じく買い占めたウィスキーも空けて、長かった1日を思い返しまがら18時にシュラフに入る。
【8月6日】
◇登山口9時15分のバスに乗るので6時に出れば良いのに、周囲の音で4時には起きてしまい、パックをして5時には出発。下る途中で初めて仙丈、甲斐駒が見えるのに気づいた。登ってくる登山者に「小屋のお酒は売り切れですよ」とM原さんが告知して歩くのがなんとも可笑しい。荷も軽くなったので2時間程で登山口に着いてしまい、駐車場まで歩いた。タクシーの予約は9時半だったので、連絡を取ろうとしたが圏外だった。日向は暑いほど日射しだったので、雨で濡れたテントとフライを水場で洗って干した。
三伏のテント場にいた神戸から来たという気さくな青年が、烏帽子を往復して追いついて、同じようにテントを干す。9時前に予約のタクシーが上がってきたので、テントを収納し、戸台口まで送ってもらう。料金は17,690円だった。帰りは諏訪大社のそばの温泉に寄ったが、14時からなので、そのまま中央道に乗って、渋滞もほとんどなく帰れた。メンバーと天候に恵まれた、楽しい山行になった。