谷川岳幽ノ沢右俣V字状岩壁右ルート

  • 日時:2014年10月8日
  • メンバー:I西、Kon
  • ルート:幽ノ沢出合 6:15カールボーデン ~ 7:45リンネ横断点 9:55~ 終了点 13:15 ~ 堅炭尾根 14:20 ~ 芝草沢出合(林道) 16:25~ ベースプラザ 18:10

2014年10月8日にI西さんとkonの2人で幽ノ沢右俣V字状岩壁右ルートに行ってきた。(GPS軌跡とコースタイムは末尾記載)。ここは1956年に古川純一が初登したルートだ。台風一過で天候は曇り時々晴れだったが、台風で降った雨で岩が濡れており、幽ノ沢の遡行や草付きではツルツル滑って苦労した。幽ノ沢出合から少し入ったところにある小さな連瀑のところは岩がヌルヌルでそのまま登ることができず、右岸を50mほど高巻いて懸垂下降で越えたが、この高巻き部分はある意味、今回の登攀の核心だったとも言える。大滝は右岸をロープを出して越えた。登攀ルートは全体として分かりやすかったが支点が少ないのでランナウトする距離が長かった。ルンゼの核心部は濡れていて少しイヤらしかった。登攀後の石楠花尾根はかなりの藪漕ぎで堅炭尾根に出るまで苦労したが、堅炭尾根は展望がすばらしい魅力的な尾根だが、濡れた岩混じりの急降下で気を緩めることができない。幽ノ沢出合を出発してから再び出合に戻って来るまで10時間55分もかかった。この日幽ノ沢右俣V字状岩壁に入ったのは我々だけだった。

幽ノ沢出合を6:15に出発

最初の滝が現れる。どこも濡れていて滑る。

この連瀑はぬめっていてそのまま登ることはできない。右岸の草付きを大きく高巻くことになるが、この草付きが嫌らしい。草の下はスラブで、気を抜くとすぐに滑ってしまう上部に行くほど壁が立ってくる。頼りない草を掴んで少しずつ高度を稼ぎ50mほど登る。この日の核心部はこの滝だった。

灌木に支点をとって40mの懸垂で連瀑の最上段に降りるが、

斜めに下降するため振られそうで少し降りにくい。

大滝は右岸をロープを出して越える。ここの岩は難しくない。

大滝を越えて少し行くと二俣に着く。右俣の先には右俣リンネやV字状岩壁が見えている。

右俣を更に遡行していくとこの滝が現れる。この滝は難しい。真中にロープスリングが垂れているがこのロープは外皮が無くなって中の繊維2本ほどでかろうじて繋がっている。I西さんがスリングにほとんど体重をかけない絶妙のバランスで越える。私は当然、彼から新しいお助けスリングを出してもらって越える。

いよいよカールボーデン(圏谷底)に入っていく。正面は中央壁、その右の岩溝が右俣リンネ、そのすぐ右がV字状岩壁だ。

右俣リンネの左側を登っていくと岩が立ってくるので、ここからロープを付けて取り付きに向かう。取り付き手前の1P目。

取り付き手前の2P目終了点から下を見ると見事なカールボーデンが一望できる。

氷河によってここまで美しく磨き上げられるのだ。まさに圏谷の底だ。

I西さんがいる場所が取り付き手前3P目終了点。さらに20mほど上がV字状岩壁への取り付き点(赤丸)だ。赤ラインが本番1P目。右俣リンネ(右の岩溝)は昭和初期の偉大な天才クライマー小川登喜男が昭和6年(1931年)7月にピトン1つ打たずに初登攀した記録がある。

取り付き手前4P目終了点から下を見る。

9:55に取り付きに着く。取り付きからV字状岩壁右ルートの1P目を見る。右にトラバースして右俣リンネを越え、対岸の岩を右上してリッジ上のテラスで切る。2P目は1P終了点の足元にあるスリングに従って4mほど下がり、そこからトラバースして「要」に登る。「要」とはV字状岩壁の要の位置ということだ。左の写真でも手前のリッジと要の右のリッジに挟まれたV字がはっきりと分かる。

右俣リンネを越えられる場所はこの地点だけ。

1P目25m。対岸のリッジのテラスに到着。この写真ではV字がさらに鮮明だ。

2P目30m。2P目の終了点(要)から振り返る。残置スリングで4mほど下がった後トラバースして最後に要に登り返す。

3P目40m。少し右上ぎみに登る。草付きは嫌らしいが岩場は快適だ。

4P目40m。正面のハングした岩を目指して直登する。町田グラウスのくまさんの山行報告ではここを左から回り込むとペツルのボルトがあるとのことで、確かに途中左にペツルのボルトが見えていたが、最短距離を直登してさらに上部にあるペツルのボルトで切った。

4P目を振り返る。

5P目30m。この上を少し右上した後に、正面の岩壁基部に向かって直登すると左側に6P目のルンゼが現れる。(6P目のルンゼは左のかぶった岩の後側になる。)

6P目30m。上部の立った岩壁が嫌らしい。

6P目の途中からルンゼ入口のビレー点を振り返る。

7P目50m。チムニーから草付きルンゼを登る。ルンゼを抜け出て開けた先の上部右にわずかにスラブが見えているが、このスラブはピトンは見えているが逆層で濡れていてとても登れそうにない。右スラブではなく、ここは左のリッジから灌木帯に入って行くのが正解。終了点は灌木で取る。

8P目20m。灌木の中を藪漕ぎで抜け出ると一気に視界が開けて終了点にでる(13:15)。稜線のスカイラインが堅炭尾根だ。この先は尾根状(石楠花尾根)を登っていくのだが危険箇所の藪こぎや滑る草付きがあるのでこの後の2Pはロープを付けたまま登る。I西さんの後の岩は左から巻く。

藪こぎが続く。あと一息で堅炭尾根だ。

やっと堅炭尾根の登山道に出る。後は下るだけだ。

堅炭尾根を下降。

途中の展望のよい見晴台で記念撮影。

堅炭尾根は山と高原地図では破線になっているが、凄い急降下の道で、岩が濡れていてゆっくりしか下れない。堅炭尾根に出てから1時間20分でついに芝倉沢に降り立った。

芝倉沢に降り立ってから45分で林道に出た。林道のコンクリートは一部崩落していた。

林道の脇には指導標が立っていた。この後45分林道を歩いて幽ノ沢出合に着いた。6時15分に幽ノ沢出合を出発してから実に10時間55分を掛けて戻ってきた。長い一日だった。この後ベースプラザまでさらに1時間を要した。

今回のGPSの軌跡。コースタイムは以下の通り。幽ノ沢出合6:15~6:30濡れ滝(高巻き)~7:25大滝~7:45二俣~9:55取り付き(リンネトラバースの支点)~13:15終了点(岩峰手前)~14:20堅炭尾根~15:40芝倉沢~16:25芝倉沢出合(林道)~17:10幽ノ沢出合~17:30一ノ倉沢出合~18:10ベースプラザ

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