リベンジ:朝日連峰

【日程】2024年5月1日(水)~3日(金)

【メンバー】N澤、A山

【行程】
5月1日:日暮沢林道(橋)ー日暮沢小屋ーハナヌキ峰ー古寺山ー小朝日岳巻き道ー大朝日小屋(泊)
5月2日:小屋ー大朝日岳(往復)ー西朝日岳ー竜門山ー寒江山ー狐穴小屋ー以東岳(往復)ー小屋(泊)
5月3日:小屋ー寒江山ー竜門小屋ー清太岩山ー日暮沢小屋ー日暮沢林道(橋)

5月1日
日暮沢林道(橋)7:25ー日暮沢小屋8:20ーハナヌキ峰11:50
ー古寺山13:52ー小朝日岳巻き道ー大朝日小屋18:00(泊)

GWの計画で、N澤さんのリクエストで昨年敗退した朝日連峰のリベンジマッチとなった。
昨年の東京~寒河江の夜行バスは無いので、昨年下山した日暮沢まで車で入り、
大朝日岳~以東岳~天狗角力取山~南俣沢~大井沢温泉、民宿に泊まって
翌日4日目に車を回収して帰京するというプランにした。

4月30日、東京は日中25℃の夏日を記録し、冬用のパンツと長袖シャツ1枚でも、
予備食2日分を含む20kgのザックを玄関に下ろすだけで汗ばむ。
19時過ぎに出発し、東北自動車道から宮城経由で山形道に入り寒河江SAを目指す。
SAで車中泊の予定だったが、フードコートの開店が遅いので、高速を降りて、西川町道の駅に1時に到着し車で仮眠する。
5時に起き、コンビニで朝食を摂って、月山湖、大井沢温泉を経て根子川林道の通称アメリカ橋に車を停める。
大井沢温泉は小さな民宿が7軒ほどで、昨年のように宿の予約をして下山を急ぐことが無いように
今回は予約をしなかったが、やや寂れたような感じで2人くらいはすぐに泊まれそうだった。

久し振りの重いザックに不安を感じつつ、昨年ライトを点けて寒河江警察署のパトカーまで歩いた林道を、
二人で昔話をしながら歩く。昨年は道が雪面に覆われていたところもあったが、
今年は雪どころか道端のミズバショウや終わりかけのフキノトウなど花と新緑で、
樹林の間から見える遠い稜線には残雪が見える。

暫くすると懐かしい3階建ての日暮沢小屋、ここからさらに根子川沿いに林道を登っていくと、
橋の先で道は崩れて雪解けの小川と倒木で歩きにくくなる。沢沿いの道は踏み跡もはっきりしないところもあり、
枯葉に覆われた急斜面の高巻き道など慎重に歩く。
尾根の取付きからハナヌキ峰まで標高差500mの急傾斜の登り、N澤さんの後を遅れながら上がっていく。

積雪と夏道が交互になり、やがてカタクリが道を覆うように群生したところの先がハナヌキ峰、
そこからさらに雪面の登りが続き、重荷に耐えながら頭を空っぽにして足下だけを見て一歩づつ先に進む。

みずばしょう
ハクモクレン
カタクリの群生

古寺山から小朝日、大朝日までなだらかな山容が見えるが、まだ遠い。
小朝日との鞍部から、小朝日のピークを北側に巻くルートの踏み跡が見え、笹藪にも夏道を見つけ、N澤さんが先に進んでいく。
雪面のトラバースで念のためクランポンを着けるが、トレースがついているのでキックステップでも問題なかった。
稜線通しのルートに戻るとガレ場の下りとなり、尾根を登り返し、昨年もバテた長い雪斜面が見えてくる。
雪面には赤い染料で進行方向に印がついていて、その脇をN澤さんが黒い点になって登っていくのが見える。
雪面に取付いたところであと1時間くらいで大朝日小屋に着くだろうと楽観していたが、最後の登りにペースダウンして、18時に小屋に着いた。

ハナヌキ峰の尾根
古寺山へのきつい登り
小朝日岳をバックに
小朝日岳(左)と大朝日岳
大朝日岳

小屋の2階には8人ほど登山者が居て、N澤さんが水作りを始めてくれていた。
殆どが古寺鉱泉側から登ってきたと思われ、もうシュラフで寝ている人も多く、二人で声を低くして夕飯の鍋をつつきながら、夕食を済ませる。
21時に寝る。

日暮れ
男二人で鍋料理

5月2日:大朝日小屋6:30ー大朝日岳6:45(往復)ー小屋発7:00ー西朝日岳8:34ー竜門山9:50ー竜門小屋10:10ー寒江山12:00ー狐穴小屋13:10~45ー中先鋒14:30ー以東岳16:05~25
ー狐穴小屋18:50(泊)

5時前に起床、外はガスっているので、朝食を摂ってから大朝日岳を往復することにする。
朝食用のラーメンを忘れたので、予備食の雑煮を食べる。
小屋の利用料金一人2,000円と書いてあったが、二人で丁度がなかったので5,000円を入れて、
メモに今日の狐穴小屋に差額分を入れる旨を書いておいた。小屋の1階に荷物を置いて、大朝日まで空身で向かう。

ガスが少しずつ晴れ、ブロッケン現象が見えた。小屋に戻りザックを背負って、狐穴小屋を目指す。ガスが切れてくると青い空が広がり、
右手に月山、左手に以東岳に続く稜線が見えてくる。雪面はキックステップが効くので歩きやすいが東側のクレバスに注意しながらルートを選ぶ。
西朝日からの下りは夏道になるが、竜門山までは再び雪面通しになる。
竜門山から小屋が見えすぐに着く。

昨年は小屋番が居たが今日は無人、外に単独者が居て狐穴小屋泊りとのことだった。
日射しが強くなり、アウターを脱いで、寒江山に向かう。
白くなだらかな月山や朝日連峰北部の峰々の景色が広がる稜線を楽しみながら歩く。
南寒江山の登りで、昨年のビバーク地点を確認、寒江山ではN澤さんが強風に吹かれながら写真撮影した様子を再現してみせた。
北寒江山から三方境に下っていくと、赤い屋根の狐穴小屋が見えてくる。
昨年は視界が悪い中、二人とも捜すのに手間取っただけに、こんな分かりやすいところだったかと訝しがりながら小屋に着く。
小屋に入ると小屋番らしき人が居て、よく見ると昨年竜門小屋で会った人だと気づいて、昨年のお礼を言うと
イガクリ頭のおじさんが「A山君とN澤君か」と言ったので、二人で記憶力の良さにビックリする。

ブロッケン現象
何やってんだか...
西朝日岳に向かう
遠くには月山
狐穴小屋に到着

矢作さんと地元では有名人らしく、片手間で狐穴小屋の管理もしているとのことで、山スキーを毎年小屋の周辺で仲間を集めてやっているらしい。
小屋の2階には、竜門小屋にいたソロの人と僕たちだけで、不要な荷物を出して、昼食を食べて、以東岳に14時前に出発する。

中先峰の登りからはほぼ夏道で雪解け水が流れ込んでいるところもあり、やや歩きにくい。
以東岳へは緩やかな稜線にみえるもののアップダウンもありジワジワと体力を消耗する。
手前の岩峰のピークから長い斜面を登っていくと以東岳の山頂につく。
ここでN澤さんが、大井沢温泉の明日の宿泊予約をスマホで連絡するが、何処も満室とのことで、予約は取れなかった。
小屋までの帰りは、N澤さんが食担なので先行し、すぐに離された。
飲用水が途中で切れそうになり、残雪を補給してみたが大した量にはならず、雪解水が流れているところで補充できたので助かる。
中先鋒を登り返すと18時前、日没前に小屋にとは思うが足が付いてこない。
18時半、もうすぐ小屋が見えてくる頃に大朝日の先の稜線に日が沈む。
残照のうちに小屋が見え、下り斜面をトラバースしていると小屋の2階からN澤さんのライトが見えた。

2階に上がると小屋番さんが待っていたので、昨日の小屋代との差額3,000円を払う。
狐穴小屋は沢水が取れるので、N澤さんが豚汁を作っておいてくれたので、ありがたく頂戴する。
昨年もビバーク明けで小屋に着いたときに豚汁で温まったのを思い出した。その後、炒め物など、野菜と肉が余る程あり、満腹になる。
小屋に泊まったのは僕らを入れて3人だった。

大井沢温泉の宿泊はとれず、小屋番によるとこの時期は月山のスキー客で毎年翌年の予約をして帰るほどの人気らしい。
大井沢温泉に泊まれないと、計画通りに天狗角力取山から北側の南俣沢に出て大井沢温泉まで9時間以上歩き、
さらに車を置いた根子川林道まで2時間はかかるので、昨年の下山と同じ竜門小屋から北側の清太岩山から日暮沢に降りるルートを提案する。
気温が高めでダウンジャケットを着て寝たら暑くなり、途中で脱いだが、筋肉痛もありあまりよく眠れなかった。

大鳥池(左)と戸立山に続く尾根

5月3日:狐穴小屋5:45ー寒江山6:57ー竜門小屋8:15~45ー清太岩山10:25、57ー日暮沢小屋13:00~15
ーアメリカ橋14:15(下山)

4時起床、単独の人が以東岳を往復して大朝日小屋までとのことで早々に出発する。挽肉入り豪華ラーメンを食べて6時前に出発。
結局、日暮沢に直接降りる昨年と同じルートにする。

食糧が減って荷も軽くなり昨日までより楽に感じる。雪面を北側から登り三方境から北寒江山への稜線に出ると、
ガスはかかっていて西風が強くなる。大朝日で西向き風速20m/s前後の予報となっていたので、寒江山の通過に不安がよぎる。
尾根筋に出ると風は強くなったが、体が振られるようなことは無かった。寒江山の登りでガスが切れはじめ、山頂では展望が開け、飯豊連峰がよく見える。

竜門小屋に近づくと東側の雪面をトラバースしている人影が4人ほど見え、小屋の手前でスキー板を持った一人とすれ違い、
小屋で休憩していると3人が次々と入ってきた。宮城、山形の人たちで、連休前半で狐穴小屋にスキー等を荷揚げして、後半で山スキーをしにきたとのこと。
この時に小屋番が矢作さんと教えてもらった。昨年のビバークの話になり、
持っていた新聞の切り抜きを見せたら盛り上がった。

小屋から雪面のトラバースとなるが、下の方はヤブが出ていて昨年より雪が少ないと感じる。
ユーフン山(山頂の看板には熊糞山とあった)から、清太岩山まで夏道と雪面のアップダウンが続くが、日暮沢の方から続々と登山者、
スキーヤーが登ってくる。尾根のピークから広い雪面を赤布と交錯するトレースを見ながら下っていくと夏道になり、
やがて沢の音が聞こえさらに下っていくと、日暮沢小屋の前に出た。小屋の前の広場には車が10台以上停めてあり、
林道の車両通行止めは解除されたのかと思ったが、林道を下っていくと、通行止めのトラ柵はそのままだった。

車まで戻ると14時過ぎ。宿泊代をかけるのももったいないので、このまま帰京することにする。
大井沢温泉の日帰りの湯に入り、西川町のそば屋で遅めの昼食を摂り、寒河江の道の駅で大きな孟宗竹のタケノコを購入して、帰路につく。
昨年の厳しい山行から、今年は景色と残雪を楽しむ山行となった。

お世話になった、狐穴小屋
寒江山
飯豊連峰
日暮沢に下る

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