3年振りの小屋再開の南ア南部縦走

  • 日時:2022年8月2日~6日
  • メンバー:A山
  • ルート:
  • 8月2日(火):畑薙湖・沼平⇒大吊橋⇒ヤレヤレ峠⇒沢出会⇒ウソッコ沢小屋⇒中ノ段⇒横窪沢小屋⇒茶臼小屋(幕)
  • 8月3日(水):上河内岳ノ肩⇒聖平小屋分岐⇒小聖岳⇒聖岳⇒兎岳避難小屋⇒兎岳⇒小兎岳⇒中盛丸山⇒百間洞分岐⇒百間洞テント場(幕)
  • 8月4日(木):赤石岳⇒赤石岳避難小屋⇒椹島分岐⇒小赤石岳⇒大聖寺平⇒荒川小屋(幕)
  • 8月5日(金):荒川前岳⇒ガレ場上部⇒高山裏避難小屋⇒板屋岳⇒大日影山の先⇒小河内岳⇒烏帽子岳⇒三伏峠小屋(泊)
  • 8月6日(土):三伏峠小屋⇒鳥倉登山口(下山)〔バス発9:15=伊那大島駅10:45,11:53=(岡谷)=新宿16:26〕

7月連休で畑薙から千枚まで縦走する計画が悪天で中止となったが、3年振りに南部の小屋が再開した今夏のチャンスを逃すのは惜しいので、7年前と同じ計画で三伏峠までの縦走とした。

■8月2日(火)
畑薙湖・沼平5:20着、6:00ー大吊橋6:40ーヤレヤレ峠7:30ー沢出会7:58、8:10ーウソッコ沢小屋8:57ー中ノ段10:00、15ー横窪沢小屋11:00、20ー休憩ベンチ12:20ー茶臼小屋14:24(幕)

<記事>
1日月曜のテレワークを18時前に終了し、食料等の最終パックをして21時前に自宅を出る。途中、新しい日焼け止めを購入して竹橋毎日ビル1階で夜行バスの受付けを待つ。お盆休み前の月曜のせいか登山者は少ない。

受付けで畑薙と行く先を告げると、今日の乗客は自分1名だけとのこと。バスは24名乗り、運転手と乗員が2名なので申し訳無い感じで乗り込む。ただどうやっても2つ以上の座席を使うことはできず、変な緊張もありあまり眠れないで、明け方の沼平に到着する。

ゲート前で朝食を摂って6時に出発。上空は曇り、山の中腹までしか見えない。アスファルトとコンクリート舗装の林道を吊り橋まで行き、先行のおじさんの後を伝っていく。ヤレヤレ峠までの最初の急登で汗だくになり、峠の涼風がありがたい。

トラバース道から下っていくと沢出会いで、整地された河原の先に新しい鉄橋が架かっている。その先も沢沿いに、以前は不安定な仮設橋が架かっていたところが、大掛かりに修復がされていた。吊り橋をいくつか渡り沢を離れて登っていくとウソッコ沢小屋、誰もいなかったが沢に再び下っていくと下山者2名とすれ違う。

再び登りが続き傾斜が緩くなると中ノ段に着く。焼きそばパンとパインジュースで栄養補給をし、さらに50分程で横窪峠、下って沢を渡ると横窪沢小屋に着いた。畑薙吊り橋で前にいたおじさんが休んでいた。水を補給して休業中で人気の無い小屋の前で涼む。

7年前、小屋番さんがくれた冷たい麦茶を懐かしく思い出す。再び樹林を1時間程登ると「大無間が見える」ベンチ、なかなか行けない山を望んで一息つく。樹林の登りの傾斜が緩くなり始め、尾根筋が見えるようになると左手に茶臼小屋のトイレ、やがて沢筋のお花畑と小屋が見え、テント場に14時過ぎに到着。

テントは6張ほどで空いている。良さそうな場所にザックを下ろし、小屋まで行き手続きを済ませて、テントを張る。(テン場代2千円、ビール600円)暑いのでテントの入口を日除けにして、16時前から夕食のスープパスタを作る。下の段に着いた単独者と話していると百間洞から来たとのこと、健脚振りに感心する。前日の寝不足と明日の長い行程に備えて、18時に今回新調したシュラフに潜り込む。

①沼平のゲート前(使用前)
②畑薙大吊橋
③怪しいキノコ
④大無間山〔右側)を望む
⑤茶臼小屋から青薙山方面

■8月3日(水)
出発3:35-上河内岳ノ肩6:00、15-聖平小屋分岐8:40、50-小聖岳10:43,53-聖岳12:40,13:00-兎岳避難小屋15:45-兎岳16:05-小兎岳17:25-中盛丸山18:49-百間洞分岐19:15-百間洞テント場21:05(幕)

<記事>
2時起床、上空は星が出ている。ラーメンを食べて静かに撤収し、3時半にライトを点けて出発。下の段の単独の男性は光岳まで往復とのことで、稜線まで前後して歩く。

明けてきた稜線の分岐の前で、「お気をつけて」挨拶をして別れる。明るくなってきた空を背景に上河内岳が正面に黒く見える。登りにかかると西側から冷い風が吹き防寒用に雨具を着る。6時に上河内岳分岐に到着、正面に聖岳から兎岳に繫がる稜線がよく見える。デジカメのセルフで写真を撮るが露出が暗く、何回やってもダメ。後からきた女性にスマホで撮ってもらう。デジカメは露出計が壊れたようで使えなくなった。
聖平小屋分岐まで南岳を経由しての下りで時間を食う。小屋分岐の平坦地で休憩、晴れてのどかだ。ここから聖岳への長い登りが始まるが、歩きだすと激しい眠気が襲ってきて堪らない。南岳から小聖岳と高度を上げていくが、眠気のせいもありペースは遅い。マルバダケブキの群生を過ぎて聖岳のガレ場の登りになり、ニセピークを三度越してバテバテで、やっと聖岳の山頂に着く。

12時40分、山頂には誰も居なかったが、奥聖から戻ってきたおじさんに写真を撮ってもらう。百間洞から来たとのことで、「アップダウンが楽しめますよ」とありがたく無いことを言う。西から雲が出ているが、正面の赤石岳や富士山など、ところどころ見える。ガスが掛かり始めた西側の稜線を兎岳に向かって一人下る。ここから300m以上下ってまた200m前後の登り返しと消耗する行程が続く。展望が無いのでGPSで位置を確認するが、コースタイムからかなり遅れて兎岳避難小屋の標識に着く。

泊まることも考えたが水が無いので断念して先に進む。小兎岳の手前の水場マークではテントが張れる場所も十分あったが、翌日から天候が崩れる予報だったので、百間洞まで行くことにする。森林限界まで下り中盛丸山のガレ場の登り返しも消耗したが、あと1時間半で小屋だと自分を励まし歩く。ここで連絡先のT山さんと家族に予定についてメールを入れる。日没前にガスが切れて一瞬夕陽が見える。ライトを用意して分岐から百間洞への下りに入る。

樹林の中の道は意外と足場が悪く、暗さで一層歩きにくい。長いトラバースと下りでやっと小屋の灯りが見えるがなかなか近づかない。沢を渡るところで少し迷い登り返すとやっと小屋に出る。2階には灯りが見えるが入口は暗く人気が無いのでそのまま暗いテント場に向かう。21時過ぎに到着、静かにテントを張り、水場に行くのも面倒なので沢の水を汲んで湧かす。明日は天候が崩れそうなのでここで停滞して、1日遅れで下山することにする。アルファ化米赤飯と汁、缶詰で夕食を済ませ、23時に寝付く。

①上河内岳の肩にて
②聖岳と兎岳(左奥)
③聖岳登り
④南アルプス深南部と富士山
⑤チシマギキョウ
⑥聖岳山頂
⑦赤石岳
⑧一瞬見えた夕陽

■8月4日(木)
出発6:40-赤石岳11:09-赤石岳避難小屋11:15,35-椹島分岐12:15-小赤石岳12:53-大聖寺平14:15-荒川小屋15:10(幕)
<記事>
朝、登山道の足音も気にせず5時起床。雨はまだ降らず、トイレと小屋番への到着報告を兼ねて小屋に行く。天候の見込みとキャンプ場での停滞が可能か聞くと、低圧帯が発生しているので今日泊まっても明日の天候も良くないので、先に進んだ方が得策との結論になり、とりあえず荒川小屋まで行くことにし、6時半に出発する。

上空は雲が時々切れて青空も見える。テント場からも最後の出発、昨日の疲れは感じないが稜線までの登りにスピードが出ない。振り返ると中盛丸山、兎岳、聖岳と昨日歩いてきた峰々が見える。百間平から赤石岳の登りに入ると、雨が時折降るようになり、雨具を着る。風もあり寒いので長袖シャツを下に着るが、水を飲むと腹が冷えるので休憩もせず歩き続ける。避難小屋が見えてからも長いガレ場を登り11時過ぎに赤石岳に着く。
すぐに避難小屋まで降りて、小屋の前の雨除けにサックを置くと小屋番さんが外にいたので、コーヒーを頼むと無いとの返事で引っ込んだ。ただ暫くすると特別にできると言うので、小屋の中に入れてもらう。

小さいが入口の談話室にはストーブがあり、快適だ。ポットのお湯ももらい、カップに入ったコーヒーを女将さんが出してくれて感激する。500円を払い、雨も小止みになった中を荒川小屋に向かう。下の雲が切れて、富士や荒川三山の稜線が見える。小赤石岳からの下りで子連れの雷鳥を見る。大聖寺平の岩原の先に赤い屋根の荒川小屋が見え、15時過ぎに到着する。小屋近くの木の陰になっているテント場に設営する。

今日も5張と少ない。小屋まで行きテン場の登録をし、缶酎ハイ(500円)を購入し、再び雨が降ってきた中をテントに戻る。今日は1日目の残りの材料で再びスープパスタを作る。16時過ぎに雷鳴がし、早めの判断で良かった。スマホが通じるので明日のヤマテンを確認し、T山さんと家に明日は三伏峠まで行く旨ノメールを入れる。スマホをカメラ替わりに使うと行動中の低温でバッテリーの消耗が早い。19時就寝、すぐにエアマットが潰れ、あきらめてそのまま寝る。

①百間洞山の家
②聖岳と上河内岳
③赤石岳山頂
④荒川小屋

■8月5日(金)
出発4:30-荒川前岳6:40-ガレ場上部7:25,35-高山裏避難小屋10:10,25-板屋岳11:44-大日影山の先13:25-小河内岳15:15-烏帽子岳17:15-三伏峠小屋(泊)18:20
<記事>
2時過ぎ、外に出ると星は見えない。ヤマテンでは午前は曇り、午後は雨の予報。ラーメンを食べ4時半に出る。ライトを点けガレ場を登る直に明るくなり、右手に富士山が見える。少し登ったところで振り返ると小屋の先に赤石岳がどっかりと見える。雲も切れて空の景色も楽しむ。岩ゴロの道を上っていくと、稜線直下の鹿除けフェンスに囲まれたお花畑が見えてくる。柵に囲まれたお花畑が自然といえるのか複雑な気持ちになる。

イヌボウフウ、シナノキンバイ、ヨツバシオガマ、ベンケイソウ等、彩り豊かな花が目を楽しませてくれる。フェンスの外に出ると荒川前岳の稜線が見え、その先に黒く悪沢岳が見える。丸いドーム状の荒川前岳に着くが、登山者は周囲に見当たらない。高山裏に向けて稜線を降りていくと左側が大きく崩壊しており、30cmほどの道が辛うじてハイマツの根で支えられているところが何カ所かあり、慎重に下る。7年前よりも状況は悪くなっていて一般道とは言えない。

危ないところを通過し、ゴロ岩の下りに入ったところで休んでいると、下から単独の男子が登ってくる。北岳から縦走してきたとのこと。尾根の先に高山裏の小屋が小さく見える。ガレ場を過ぎたところで滑って転び側頭部を岩にぶつけるが、幸い平面だったので無事だった。滑りやすい石の下りを過ぎて樹林の登り下りが続き、水場に出る。

給水器に500CC程足して、キャンプ場を過ぎるとやっと小屋に着く。小屋番にテン場予約のキャンセルを詫び、小屋前のお花畑がマルバダケブキだらけになっていると言うと、ここも鹿に他の植物は食べられたとのことだった。小屋から荒川三山の稜線に雲が掛かり始めているのが見えた。樹林の中の板屋岳を過ぎ、大日影山の鞍部から小河内岳への登り返しと、南アルプスらしい変化の乏しい道が続く。

小河内岳の登りで森林限界を出るとガスと冷たい風が吹きはじめ、雷雲の心配をしながら岩場を登っていくと15時過ぎに小河内岳に着く。避難小屋の分岐を過ぎて暫くすると雨が降り出す。烏帽子岳を登って三伏峠に急ぐ。マツムシソウが群生する鹿除けフェンスの間を下っていくと、三伏の水場の分岐に出て、暗い樹林を登っていくと18時20分三伏峠小屋に着いた。身体もテン場も濡れているので、小屋に泊まることにする。

受付のお姉さんが感じ良かったが、19時に消灯なのでストーブも消えていて中も思った程温かくない。素泊まり1万円、水1リットルと酎ハイも買って、2階の寝場所から自炊道具を持って外の自炊場に戻る。屋根と囲いはあるが寒いので、コンロを床に置いて股火鉢にして足を温める。アルファ化米とカレー、缶詰で夕食を済ませ、2階の布団に入る。大部屋なので物音がしてあまりよく寝られなかった。

①赤石岳と荒川小屋
②フェンス内のお花畑
③お花畑2 シナノキンバイ
④悪沢岳
⑤荒川前岳
⑥北アルプスを望む
⑦高山裏避難小屋

■8月6日(土)
出発6:00-鳥倉登山口8:25(下山)〔バス発9:15=伊那大島駅10:45,11:53=(岡谷)=新宿16:26〕
<記事>
4時半に起きて、野菜スープで雑煮を作る。昨日に小屋の宿泊者で病人がでたらしく小屋の人が地元の病院等と連絡を取っており、本人は歩けるようなので麓から消防などの救助隊が来ることになったらしい。

雨は上がったようなので、雨具もしまって6時に小屋を出る。出口でお礼に声を掛けると食事中なのに昨日のお姉さんが挨拶に出てきてくれた。下りは所々、木道があるので滑らないように注意しながら下る。登山口との中間、5/10の道標で登ってきた10名程の救助隊とすれ違う。頭が下がる思いだ。

樹林の傾斜が緩くなってくると鳥倉登山口に着いた。消防の車3台と警察車両が1台止まっていた。後から小屋にいた2組のおじさんも着き、四阿で話をしているとプラムを2個頂いた。みずみずしく美味しく頂いた。9時15分のバスに乗ったのは3人、伊那大島では駅舎に残ったのは1一人だった。新宿までの切符を購入し、駅のトイレで着替えて、徒歩5分程のコンビニで昼食を購入し駅舎で食べる。親切な駅員さんがゴミを引き取ってくれた。岡谷経由で新宿着16時半、暑い東京に戻ってきた。

鳥倉登山口(使用後)
伊那大島駅

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