残雪期の飯豊連峰縦走

日時:2022年5月4日~7日

メンバー:L A山、K野、K田

久しぶりに飯豊山の残雪期縦走を思いつき、K野、K田の強力メンバーを得て、3泊4日行程で歩いた。(A山記)

5月6日天狗岳からの眺望

■5月4日
5/3東京発23:50(JRバス)=郡山着4:40,発6:52=山都着8:00=林道通行止め(川入手前4km付近)9:15-川入10:30、50-御沢11:30-長坂1010m13:55-地蔵山下16:20(幕)

GW後半は好天が続きそうで、6日金曜に休暇を取り、3日東京駅発のJR夜行バスに乗り込む。混雑はそれほどでも無く、3列シートで気兼ね無く眠れた。翌日4時40分に郡山駅着、磐越西線を乗り継いで8時に山都駅に着く。タクシーが1台いたので、御沢のキャンプ場まで入れるかと聞いたら大丈夫というので、幸先が良いと乗り込む。だが、川入の手前4km程で林道が通行止めになっており、運ちゃんを恨みながら荷物を下ろして、川沿いの林道を1時間程歩く。

ヤマザクラの咲く川入の集落では民宿の人たちが作業をしていた。集落から御沢に続く道に入ると真ん中にブルが止めてあり、これでは車で入れなかったとあきらめが付く。御沢キャンプ場に管理小屋があり、中に登山届のボックスがあったので入れておく。その先が登山口で、ゲーターを巻いて尾根に取付く。樹林帯で南向きなので下部はイワカガミが咲きのどかな感じだったが、中十五里付近から残雪が出始めたのでクランポンを装着して歩く。荷物が24kgと重かったので、K田さんと昨晩の二日酔いが抜けたK野さんに離されていく。

森林限界を出ると右手に地蔵山、左手に三国山、その奥に飯豊山に?がる稜線が見える。地蔵山を巻くようにトラバースをして稜線の開けたところに、時間切れなので、テントを設営することする。雪面を30cmほど掘下げて風除けを作る。やや強い風が南西側から時折吹いてきたが、寒さはそれほど感じない。水作りをして、自分が食担なのでスープパスタを作り、初日を終えた。


■5月5日
出発5:00-三国岳6:30、45-切合小屋9:08,25-本山小屋12:55,13:05-飯豊山13:25,45-御西小屋15:40(泊)

3時起床予定だったが30分寝坊。雑煮を食べて、クランポンを装着して5時に出発。自分の共同食糧が無くなったので、K田さんから共同食の半分とK野さんからテントポールをもらう。今朝も快晴、山頂に小屋が見える三国岳の登りに取付く。先行する二人にすぐに離される。雪面から剣ヶ峰の岩場や雪稜が続き、1時間半で山頂と小屋に着く。小屋はきれいだがトイレは使えない。種蒔山までは雪面と夏道が交互に出てくる。七ツ森の手前でスノスコの柄を拾った、その後、3人組パーティーに抜かれる。日が昇るにつれ雪面からの照り返しもあり、暑さが増してきてバテる。広い雪面を登っていくと切合小屋に着く。2階建だが周囲は雪が無くなっていた。スコップの柄を無事、K野さんに返し、行動食と水分を補給して、飯豊本山に向かう。なだらかな山容なので、本山小屋まで2時間以上もかかるように思えないが、それがくせものだった。小屋から鞍部まで下り、雪面の登りが続き、二人はじきに見えなくなった。飯豊山から下りてきた10名ほどのパーティーとすれ違う。登りは殆ど夏道となっており、クランポンは不要だったが、外すのも面倒なのでそのまま登る。遠くから赤い印に見えたのは、姥ノ前の地蔵の赤い頭巾と前掛けだった。手前のピークの石垣を越えると、本山小屋が見えた。2階建の小屋に13時前に着くと、先行の二人は11時過ぎに着いたとのこと。水を作ってくれていたので、ありがたく頂く。K野さんがくれたフルーツトマトが美味しかった。緩い稜線を伝ってすぐ飯豊山山頂に着く。行く手に大日岳と右手に北ノ股岳とパノラマに山が見える。夏道を下って、ドーム状の御西岳の登りになるが、二人の姿が点になって見えるが、一向にスピードが上がらない。登り切ると大日岳の尖ったピークと右手に広がる雪面の先にポツンと小屋が見える。小屋は1階部分は雪面に隠れ、2階の入口から入る。土間から扉を開けると、K田さんとK野さんが水作りをしていて、その奥に3人パーティがいた。トイレは1階にあるが使えないとのこと。ただ間仕切り用のウレタンが畳替わりに使えて具合が良い。夕食はK野さんのレトルトハンバーグとアルファ米、ハンバーグをシチューで煮込んだので美味しかった。小屋の横に雪面を掘ってトイレを作った。日が沈んでも冬用シュラフとダウンでもやや暑いくらいだった。

烏帽子岳山頂から二王子岳方面

■5月6日
出発4:50-烏帽子岳7:20,30-梅花皮小屋8:30-北股岳9:10,25-門内岳10:35-門内小屋10:40,11:20-地神山12:25-頼母木山13:40-頼母木小屋14:05(泊)

3時前に小屋の外に出ると星と遠く街の灯りがきらきら見える。ラーメンを食べて5時前に出発。3人組パーティーは大日岳を往復して、門内小屋泊りとのこと。飯豊山から朝日が昇り空が赤く染まる。天狗岳の広い雪面を登ると烏帽子へと続くなだらかな稜線が見える。K野さん、K田さんに抜かれるので、今日は90分刻みで自分のペースで歩くことにする。まだ荷物が重いので1820m鞍部で酒を捨てる。先行の二人が見える範囲でついて行けるペースを保ちながら、夏道混じりの稜線の登り返しを上がると烏帽子岳に着いた。先に見える北股岳の手前にポツンと梅花皮小屋が見える。梅花皮岳からは長いゴロ石の下りで歩きにくい。小屋の前で休んでいる二人が見えるが、着く前に歩き始めているので自分はスルーして北股岳に9時過ぎに着く。山頂には鳥居があり、朝日連峰や残雪の白い峰の景色が360度見える。クランポンを外して門内岳に向かう。下りで石に躓いて、右膝を岩にぶつける。山頂に続く雪面を登っていくと赤い洞が見えて、山頂のすぐ下に門内小屋がある。小屋の前で水作りをして、喉を潤す。日が高くなるにつれて暑さがましてくる。胎内山、扇ノ地神となだらかな起伏の山が続く。扇ノ地神から東側に梶川尾根が伸びているが、トレースは見えなかった。地神山北峰で二人に追いつく。北上するにつれ尾根の先にエブリ差岳(えぶりさし)の立派な山容が大きくなる。頼母木山からは明日下る西俣尾根を見るが、手前はクマザサの藪が広がる。山頂の下にクランポンやピッケルなどをデポして、小屋に下る。頼母木山小屋の周辺は雪は無く、小屋の炊事場から水が出ていた。荷物を置いて、美味しい水と久しぶりに顔を洗ってさっぱりとする。登山靴など濡れたものを日向に並べ、小屋の板の間で寛ぐ。胎内山岳会が小屋の維持管理をしているとのことで、維持金箱に一人2000円ずつ団体名のメモと一緒に入れる。少しして飯豊本山小屋から来たソロのおじさんが小屋に着く。川入から2日でここまで来たとのこと、健脚だ。最後の夕食はK田さんが米を炊いて、即席カレーだったがらっきょ付きで美味しく頂いた。お酒も全部飲んでしまうとやることも無く、18時前にシュラフに入る。その後、また起きて日本海に夕陽が沈むのを見た。夜は冬用シュラフでは暑いくらいだった。

■5月7日
出発4:05-頼母木山4:35,50-三匹穴5:29-大ドミ1180m 6:40-枯松峰7:30-西俣ノ峰8:15,23-登山口10:10-飯豊梅花皮荘 10:30、12:50(バス)=小国=米沢=東京

明け方に外に出ると満天の星、外気も温かい。トイレはバイオ式で、キジを打ったら小屋にある自転車型のペダルを前20回、後10回踏む。暗闇で一人ペダルを漕いでいると笑ってしまう。朝食はにゅうめん、具材もあって塩分の補給にもなった。帰りのバスの時間もあるので、小屋を4時過ぎに出る。ソロのおじさんは未だ寝ていた。頼母木山まで登り返し、デポを回収。荷物も重くなる。明るくなってきた西俣尾根の斜面は見渡す限り背丈ほどのヤブ、背の高い灌木に赤テがわずかに見えるが、ヤブに突入するには心もとない。それでも踏み跡らしきものを辿りながら、コンパスで方向を確認しながらクマザサをかき分けて進む。ヤブが切れて雪面に出ると嬉しくなるが、再びヤブに入るとシラカバに「三匹穴1470m」のプレートを発見する。ルートが不明確なので尾根の左手の雪面を下るが、稜線から離れたのでカタクリの咲く急斜面を木に捕まりながら登り返す。「大ドミ1180m」のプレートを通過したところで、尾根の右手から「オーイ、大丈夫かー」とコールする声が聞こえた。踏み跡と雪面のトレースがはっきりしてきたところで、ソロのおじさんと合流。尾根の北側の雪面を降りてくるのが正解だったようだ。コブシやヤマツツジの咲く樹林を抜けて、雪面に出ると西俣峰に着く。登ってきたパーティが8名ほど居て、これからあのヤブに入っていくのかと思うと意外だった。ここから見る飯豊連峰の景色は圧巻だった。少し下ると急な雪面になったのでクランポンを装着してトラバース用にピッケルを出して荷物を背負ったら、すでに二人がルート外の尾根を下っていて、仕方無く後を捜しながら下ると、二人とソロのおじさんが登り返してきた。トラバースして元のルートに戻るとすぐに夏道になるが、足場の悪い下りが続き最後まで気が抜けない。麓の川が見えてくるとやっと登山口の林道に出る。水が切れたので小川の水で喉を潤した。カタクリが群生する林道を行くとやっと飯豊梅花皮荘に着いた。バスの時間まで、ゆっくりと温泉に入り、ビールで乾杯して、山菜てんぷらと蕎麦に舌鼓を打った。残雪期山行の楽しさ、難しさが浸みた4日間だった、同行のK野さん、K田さんに感謝。

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