残雪期のアルパイン 白馬岳主稜

日時:2021年5月3日(火)~4日(水)

メンバー:長S(L)、S藤、O田(会員外)

ルート:

5月3日:猿倉登山口駐車場9:07~10:52 白馬尻小屋付近(幕)12:53~偵察1735 付近13:28~13:55 幕営地

5月4日:白馬尻小屋付近幕営地3:36~八峰6:09~六峰7:11~四峰8:12~二峰9:16~10:35 白馬岳山頂10:40~白馬岳頂上宿舎11:03~岩室跡11:56~13:08 白馬尻小屋付近幕営地14:08~猿倉登山口駐車場15:23 小屋(幕) 15:32

バリエーション志向のS藤ヨさんからGWに白馬岳主稜に行きましょうと誘われたものの、諸般の事情で確実に日程を割くことができたのはGW 真ん中の祝日3連休。しかも5日の午後には帰京しなければならないという制約つきである。

4/20 の段階でGW の天気は全般的に良くないとの予報。その週に主稜に入ったヤマレコでの記録では雪解けが予想以上に早いという。行く前から山行中止の匂いがプンプンする状況で先行きが思いやられた。しかしその週末から少しずつ事態が好転し始める。

4/23 は佐久の岩場に泊まりでF井夫妻と神田のI瀬さんとクライミングに行ったのだが、その晩,主稜の計画を話すと神田のO田さんも白馬岳主稜に行きたがっているとの情報。O田さんはS藤さんも城ヶ崎で一緒に登っており知らない仲ではない。早速その場でO田さんへ電話し参加が決まる。聞けば5年ごしでチャンスを伺っていたらしい。
S藤さんO田さんともに5/2 は通常勤務。5/2 夜発で5/3 に雪の状態の良い早朝にアタックとなると移動含めてほぼ徹夜になってしまう。自ずと計画は5/3 は白馬尻にベースを張り翌5/4 早朝アタックの1本勝負に限られた。それだと初日の行程は猿倉から白馬尻までのわずかな登山のみ。これなら午後に猿倉入りしても良いぐらいなのだが,高速は三連休初日の下りで渋滞が予見され,かつGW 中は休日割引されない。結局,前夜発の千曲川さかきPA車中泊で深夜割引適用を狙う。
気になる天気予報の方も車中泊明けの5/3 には4 日いっぱい好天に変わっており,心配のタネは雪の緩みや雪崩,それに日焼けやバテに変わっていた。

5/3 更埴IC で高速を降り,篠ノ井の西友で共同食材やら酒精その他を仕入れる。午前6 時台に生鮮食品を購入できるのもありがたい。
猿倉の駐車場には8 時には到着。計画書を持参し忘れ,猿倉荘に開設の登山相談所で計画書を記入し登山開始。

猿倉には昨年も4/24に白馬鑓温泉BC スキーの際に来たが,その時と比べ積雪が明らかに少ない。予報は外れ,抜けるような青空のもと白馬尻までのんびり歩く。斜面に雪は被っており土はあまり見えない。どうもGW 前半で降雪があったようだ(翌日帰路の頃にはこれらの雪はすべて溶け山肌は丸見えだった)白馬尻小屋付近と思しきところまで来たが何もない。すべて厚い雪の下らしい。大雪渓からの吹きおろしてくる風が嫌で,中央を避け,右岸(杓子側)の高台に登り幕営地とした。

緩やかな斜面なので造成するためにシャベルをふるうと20cm くらい下には汚れた弱層がすぐに顔を出した。やはり数日前に新しく雪が積もったようだ。

テント設営が済むと,対岸の左岸(主稜)の下見に空荷で出かける。今回ピッケル以外にアイスバイルを持参している。雪の状況や傾斜によって良いところ取りをするために,両手に1本ずつ持つためだ。

踏み跡をたどり登り始めたところ,照らされる日差しに雪はダレてきており腐る寸前といった様相。斜面の傾斜のキツイところは雪が滑り,ポッカリ穴が開き地肌が見えている。
これは明日は午前中に主稜を抜けるつもりで早出しないと怖くて登れなくなるだろう。

200m ほど登ったところで引き返し, テントに戻り早々に夕宴。ジンギスカンをし,鍋をつつき,締めに焼きそばを食し日没前には就寝。

翌5/4 未明1:30 に起床。時折唸る風音が気になる。
予報では天気は快晴だが白馬山頂は未明から昼過ぎまで風速16mの風との表示。まあ行けるとこまで行って駄目なら引き返せば良い(実際はそんなに簡単に引き返せるルートではなかったが…)と割り切り朝食を取り,支度をする。3:30 過ぎにヘッ電を頼りにテントを出発。前日登った斜面は,気温が低く,見違えるほど歩きやすく締まっている。

八峰までは雪の斜面をじわじわと登っていく感じで, 比較的単調に進む。途中5 時前には太陽が山の端から顔を出す。文句なくの晴天である。

ひたすら,斜面にピッケル&バイルを突き刺し一歩一歩歩みを進め,小ピークを乗り越す。時には大きく空いたシュルンドを迂回。

そして左右の落ちた痩せた尾根を二足歩行で進む。
この繰り返しを何度しただろうか。途中ロープを出すことはないが,時折吹く強風に都度耐風姿勢度々を強いられる。

「白馬頂上の前に偽ピークがある。あの偽ピークを超えたら,いよいよロープを出す核心だ。」

しかし,偽ピークと思っていたところが近づくにつれロープを出しているように見える。しかし稜線の直前にあるとされている雪庇の張り出しもなければトンネルらしきものも見えない。

前の2パーティに続き我々もここでロープを出す。

リードは言うまでもなくS藤さんだ。セカンドはタイブロックでO田さん。そしてロープに引きずられるようにして(ビレイが引きすぎ)自分が最後の雪壁に挑む。上に登るにつれ,みるみる風が強まり雪煙が舞う。「あーこれはやはり稜線に出るんだろうな」この地点から頂上は,ほんの目と鼻の先にであった。

ただ西風をダイレクトに受けるため, 足元はおぼつかない。先の痩せたナイフリッジの所でこの風が吹いていたらおそらく敗退していたのは間違いない。主稜は東側尾根だからこそ風が稜線に遮られ登れたのだろう。あとは大雪渓を下り, テントを撤収して帰るだけだ。次は山スキーでここを訪れてみたいものだ。

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