北アルプス 双六谷

日時:2025年8月22日(金)~24日(日) M澤、K田

前週の東沢谷敗退の不完全燃焼を消し去るとても印象深い遡行になりました。今の自分の実力で行けるかどうかという難易度でしたが、M澤さんからのお誘いには即答で行くと答えました。双六谷は岩も大きく、水量も多く、行程も長いため、モタモタしていると期間内に詰め上ることができないため、とにもかくにも軽量化を徹底しました。(それでも水分を含んだ状態で16kg程度)アプローチと下山も長いため、沢靴でなくアプローチシューズを選択。食料は東沢で美味しかった乾麺主体とし、防寒着とシュラフは持っていくことにしました。

1日目

21日22時にM澤家近くで待ち合わせ新穂高を目指す。22日2時頃に新穂高に着いたが、既に第一駐車場は満車で、離れた鍋平無料駐車場に停めて、5時まで仮眠をとる。事前に予約したタクシーは新穂高センターに6時だったので、5時半には装備を整え出発。5:45にセンターにつくとタクシーが止まっており、そこから30分ほどかけて双六ダムに向かう。工事用のゲートが閉まっており、ここまでかというところで、タイミングよく工事関係者がゲートを開けるために登場!

この先まで進んで良いとのことで急遽。もう一つ先のゲートまで車で入ることができました。これで1時間ほどの短縮!
その後、整備された林道を2時間半ほど歩き取水堰に到着。ここで草刈りをされている工事関係者に双六谷を遡行することを伝えると、熊が多いから気を付けてと注意を受ける。

ここからは未整備のルート、踏み跡を辿りながら歩くが、途中から危ういトラバースもでてきて、思い切って20メートルほど登ると軌道跡に乗ることができ、そのまま進む。危険個所には古いザイルが掛けられており、良く登られている沢なんだと実感。ゲートから5時間ほど歩いてようやく13:00に打込谷出合に到着し入渓。下部の大きな淵は越えてきたため、比較的遡行はしやすいはず。本日はセンズ谷出合の先の広河原を目指す。

激しい流れに苦労しながら川底に見える石を確認し、ジャンプを繰り返し徒渉していく。巻けるところは全て巻き、スピード優先でどんどん歩いていく。1か所ザックを背負って泳ぐポイントがあったが、ザックで頭が押され、大きなザックが抵抗になり進まず。お助けを出してもらい何とか突破することができた。ザックがあると登れない岩も多く、空身でよじ登った後に荷揚げをしていく。寝不足と疲れでヘロヘロになりながらも何とか1日目の目的地に17:00に到着。砂地のベット?のようなところにシートを広げ、幕場とした。乾いた流木がそこら中にあるので、焚火は楽だった。1日目は自分の食材を消費させてもらい夜はパスタ、朝はうどんを食した。ビール350と小さなワインも軽量化のために全て初日で消費した。

2日目

7:30遡行開始。M澤さんは双六池まで行きたそうだが、到底無理と思い。15時には行動終了することをお願いした。昨日よりは若干徒渉しやすくなってきてはいるが、それでも水量はまだまだ多い。今日はキンチヂミ、六千尺ノ滝といった核心部分がある。キンチヂミは、まずは松澤さんが空身で突破、その後、ザック2個を荷揚げし、最後に自分がチムニー状になってている部分を中に入って離陸し、その後カンテを掴むと越えることができた。

蓮華谷出合を過ぎ、六千尺の滝は左岸巻きで越えると、景色が開けてきて、最終の幕場に到着。ちょっと早いが本日は14:00で行動終了とした。タープを張り、焚火を着け温まる。ここまでくるとあまり虫はいないようで、快適な幕場だった。朝方はかなり冷え込んだので防寒着を着込んでちょうど良い感じだった。夕食はアルファ米と麻婆春雨。夕方に少し雨が落ちてきたので、夜の雨を心配したが、結局雨が降ることは無かった。

3日目

朝食は棒ラーメンを食し、7時に遡行開始。朝から徒渉が続くが、とにかく水が冷たい!!
温まる暇もなくひたすら徒渉でだんだん足先の感覚が無くなっていく。やがて谷に日が差すようになり、ようやく少しづつ暖かくなってくる。3:1を過ぎると一気に源頭の雰囲気になるが、まだまだしっかり流れが続き、双六池のすぐ近くまで水が枯れることは無かった。

しばらく行くと登山道を行く登山者の姿が見えてくる。水が枯れたところで、沢装備は解除し、アプローチシューズに履き替え、最後の詰めに入る。藪漕ぎや急斜面もなく、ひたすら草原のようなところを登っていくと10:30に双六池のほとりに到着。今回の遡行は無事に終了した。少し休憩した後、鏡平小屋で大盛カレーと飲み物で祝杯を上げ、新穂高まで下った。ロープウェイで鍋平まで上れればと思っていたのだが、残念ながら15時で終了しており、M澤さんに空身で車を取りに行ってもらい。奥飛騨の湯で入浴後、帰京した。

登攀能力はもちろんのこと、徒渉、ルーファイなど参考になることが多く、怪我や事故なく歩き切ることができて良かった。

今回は全ての面でM澤さん頼りになり、サポートされっぱなしだった。徒渉のライン取りは後ろから見ていて自分とは全く視点が違うためとても勉強になった。スクラム徒渉が数か所、それ以外はフリーでジャンプしながら越えていくことが多かったが、これも自分ではなかなかやる機会がなく良い体験だった。下部はほとんどヌメリがなかったのでこういったスタイルが可能だったのだと思う。

1か所泳ぎがあったが、ここは空身で行くべきだったと思う。緩い流れであっても大きなザックが引きずられてしまい、取付いた後も水を含んだザックを背負って立ち上がるのに苦労した。

今シーズンは、リーダーとして行く沢が多かったが、今回は自分のことだけを考え、全ての引き出しを使ってなんとかついていくという感じだったので、とても充実した山行になった。

サポート頂きありがとうございました。また、よろしくお願いします。