北アルプス 黒部川 東沢谷

日時:2025年8月13日(水)~16日(土) K田、M角、B府、Y本、T田
今年、目標にしていた東沢谷(ひがしさわたん)遡行は集中豪雨による増水のため残念ながら途中敗退となりました。
5月GW明けからこの計画をスタートしました。まずはテント泊装備で4泊5日歩けるメンバーを募り、日帰り沢、泊り沢、徒渉訓練を共にし、技術と経験を各自で積んでもらいました。今回は源流釣りも目的の一つだったので、餌釣り、テンカラなど釣道具も各自で買い揃えてもらいました。
Day 0 (12日)
武蔵小杉駅に18:00に集合。前泊地の信濃大町 七倉荘を目指す。22:00には旅館に到着、共同装備を荷分けし、T田さんのランクルを無料駐車場に置いてきてもらう。全員揃ったところで乾杯し、明日からの山行に備えて早々に就寝。
Day 1 (13日)
5:30信濃大町駅発のバスに乗車、扇沢で電気バスに乗り換え6:50には黒部ダムに到着。10:00の平の渡しの渡船に乗っている記録もあるが、15キロ以上の荷物を背負っている我々は11:00到着を目指して歩き始める。直前までの大雨で奥黒部ヒュッテまでの登山道の崩壊が気になっていたが、特に問題になるような箇所はなかった。
11時には平の小屋に到着し、給水、休憩をとる。15名程が並んでおり我々は第2便に乗船。船に乗っているのは10分ほどだが、とても快適で、遊覧船ベルガが廃止されていなければ一度乗っても良いかなと思った。
船着場から2時間程度で奥黒部ヒュッテに到着。その間は木の梯子のアップダウンがたくさんあり思った以上に体力を削られる。ワンミスで谷底に転がり落ちるような道が続くため、集中力を切らせることなく、慎重に歩き続けることが要求される。
ヒュッテは風呂もある立派な小屋。トイレもとてもキレイだった。砂地の快適なテント場にタープを張り、まずはビールで乾杯。その後、東沢の偵察がてら釣りに行く。かなりの増水でテンカラではなかなか厳しい状況だったが、餌釣りでニジマスとイワナを3匹確保し、夕食のミートソースパスタとともにムニエルにして美味しく頂く。



朝一番の黒部湖 霧が幻想的
奥黒部ヒュッテまでは梯子がたくさん
初日、まだまだ水が多い


スタート時、気合十分
ここを整備して下さる方には頭が下がる
Day 2 (14日)
6:00出発。昨日下見しておいた読売新道の途中から藪の急斜面を下る。途中まで手掛かりがあるためクライムダウンしてもらうが、一部不安定なところもあり、1ピッチ懸垂下降で沢に下り立つ。東沢の水はとても冷たく、水量も多いため、時々休憩して体を温めながら腰まで浸かって左岸を遡行していく。
しばらく遡行すると再びゴルジュがでてくるので、巻いた後はしばらく藪漕ぎとなる。少し進むと昨日入渓したパーティーが野営している。話を聞くと、一ノ沢出合の手前の徒渉ができず停滞していたが、敗退するとのこと。
我々はとりあえず進めるところまで行こうということになり、藪漕ぎを継続。徒渉ポイントに着くと、一緒に入渓した先行パーティーが逡巡している。川を観察しながら徒渉の可能性のあるラインを、T田さんが振り子懸垂で徒渉開始。ふともも程度の水深まできた進んだ時に水圧でこれ以上足を動かせないとのことで徒渉は断念。
一旦もどると、先ほど敗退したパーティーが野営していた場所が空いているので、居抜きでタープを張ってその日は減水の可能性に期待して停滞することにした。薪を集め準備が済むと、昼寝をしたり、釣りに行ったり、ヨガをしたり、各自夕食まで自由に過ごす。増水のためテンカラで釣れるポイントも少なく、イワナ1匹を確保するに留まる。塩焼きにして、T田さん、B府さんに食べてもらう。夕食はB府さんの地鶏入りホワイトシチューと白米



奥黒部ヒュッテは立派な小屋だった
果敢にロープ徒渉するも重い流れには勝てず
針ノ木谷に転進
Day 3 (15日)
昨日から20センチ程度は減水しているようだが、まだまだフリーで徒渉できるような状態にはならなかった。計画では、今日中に2300mまで遡行し、明日は竹村新道経由で晴嵐荘に下山しなければならない。徒渉で複数回ロープを出した場合、明らかに時間切れになる。全員で話し合った結果、東沢遡行は断念することにした。
昨日、降りてきた急斜面を登り返し、奥黒部ヒュッテで敗退の報告をした。
今回、6パーティ程が入渓していたが、いずれも敗退していたようだった。いくつかのパーティーは針ノ木谷に転進すると聞いていたため、我々も針ノ木谷を目指すことにした。
3時間ほどで針ノ木谷に到着。河原から一段上った砂地を整地してタープを設営。焚き木を集めてから、全員で南沢出合まで移動し、各自好きなポイントで釣りをすることにした。既に何組かに叩かれているため釣果は期待できなかったが、イワナ2匹を確保し、油消費のために野菜とイワナは天ぷら、中骨や胃袋は素揚げにした。夕食はM角さんのキーマカレーと白米。野菜はM角さんが自宅で乾燥野菜を作ったとのことだが、とても美味しかった。
Day 4 (16日)
10:20の渡し舟を目指しゆっくり起床のはずが、みなさん5:00には起きて、テン場近くで竿を振る。B府さんが人生初のイワナをゲット。刺身にして朝食でみんなで頂きました。
渡船には15名ほどが乗船。そこから4時間程歩き黒部ダムに戻った。渡船の船頭さんの話しによると、集中豪雨で黒部湖の水位が1日に3メートル上昇したとのこと。この地域にどれほどの雨が降ったのか正確な情報はありませんが、相当の量の降雨があったようです。我々が下山する日に、上ノ廊下を目指す3人パーティーが入山していきましたが、無事に遡行できたのかな。
扇沢からバスで大町に戻り、温泉&焼肉で打ち上げを行い、なぜか渋滞の無い中央道で、その日のうちに帰宅することができました。
黒部での源流釣りを目的とした遡行を計画して今回で3年目。未だに計画完遂はできていません。
今回、同行してくれたM角さん、Y本さん、B府さん、T田さん ありがとうございました。
来年、再度挑戦し、東沢谷での尺イワナ爆釣を実現させたいと思います。次回もお付き合いください。



【所感】
■K田さんの夏山沢泊に参加させてもらうのは今回で2回目。2回連続で未達となり「自分が疫病神か…」と思っていたら、実は3回連続ということで、私のせいではないと安心しました。東沢谷の渡渉では、増水の中ロープにテンションをかけながらトライしましたが、太ももまで浸かった時点で「これ以上進めば腰まできて無理だ」と判断し、あっさり断念。黒部の水の力を体感できたことは、今後の沢人生にも必ず役立つと思います。その後は針ノ木谷に転進しましたが、非常にきれいな沢で、テンカラを振りながら沢登りをしているだけでも楽しい時間となりました。人生初の沢釣り(テンカラ)では残念ながら坊主…。でもこれからは「黒部専門テンカラ師」として修行し、来年こそは爆釣&尺イワナを仕留めたいと思います!
■この夏のメインイベント東沢谷&ワリモ沢&伊藤新道!のはずでしたが。。。晴天続きも虚しく、増水による撤退。4か月間K田リーダーに根気よく指導していただき、産まれたての卵状態から今夏ヒヨコほどには成長したはずの姿を発揮できず(笑)残念無念。
しかし魚釣り&美味しいご飯・とんでもなく冷たい黒部の水・思いがけない針ノ木沢の美しさなど、THE沢を堪能することができ、良きメンバーに恵まれ楽しい夏休みとなりました!またしっかりと鍛えなおして、晴嵐荘ゴール目指したいと思います。
■東沢谷は、今まで登った沢の中で最も透明で冷たく、強い水流、ヘツリではボロボロと壁が崩れましたが美しい渓相でした。アブ、ブヨの襲撃、女性の沢屋さんからのきつい一発、目の前に飛び出してきたデカいカモシカに脅されるなど、思い出いっぱいです。K田さん、M角さん、B府さん達と、泊まり沢、日帰り沢、渡渉訓練等で経験を積み重ね、筋トレ&ダイエットして挑みましたが、自然の力の前に残念ながら敗退という結果になりましたが、とても良い経験が出来ました。ご一緒した皆さんありがとう御座いました。
■まずはリーダーとして導いて下さったK田さん、渡渉訓練にてサポート頂いたM澤さん、メンバーの皆さんに感謝したいと思います。クライミング技術、経験が圧倒的に少ないだけでなく、釣り経験はゼロ。様々な場面でお世話になりました(ご迷惑をおかけしました)今回の一連の山行により得た2つの"気づき"につき以下の通り記したいと思います。
1.クライミング(ロープワーク)能力の低さ:低さというより皆無。しかし今後の山行の幅を拡げる為には不可避。苦手と思い、避けてきましたがその壁を破るきかっけにしたいと思います。〇ックロック、通いたいと思います。
2.釣りについて:1匹の岩魚を釣る事ができました。(釣られた岩魚ちゃん、ありがとう!)刺身は美味しかったし初めての感覚。素直に楽しかったです。今回、初めてのチャレンジで何から何まで新品で挑みました。さらに前日には、家で練習中に竿先を折るという失態を犯し、竿師K田さんに臨機応変に直して頂いての臨戦。こちらも誠に有難うございました。以上、コロナ禍から開始した自分史における登山に対し、間違いなく新しいジャンルへ踏み出している今回の山行。無駄にする事なく次へステップアップしたいと考えています。


