夏山縦走(白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳)
日時:22025 年 7 月 26 日 (土)~27 日(日)
参加者:参加者 14 名
(A)L N澤(記)・M杉・S月女・N島(記)
(B)SL A倉・M月・O野寺
(C)H岩・S澤・M田・I手(記)
(D) M原・S木・Y田
【7月26日(土)】
猿倉6:46~7:53白馬尻小屋跡8:02~14:39村営頂上宿舎15:43~16:26白馬岳16:31~17:24村営頂上宿舎(幕)
【7月27日(日)】
2:30起床 村営頂上宿舎4:32~5:58杓子岳6:09~7:37白馬鑓ヶ岳7:47~11:02鑓温泉11:15~12:04杓子沢出合12:09~13:13小日向のコル13:13~14:24猿倉 (以上 長澤計測時間)
猿倉駐車場は閉鎖されそこまではバスタクシー(または徒歩)なのだがバスは完全予約制。これだけの人数を朝イチに運ぶのはタクシー分乗は現実的でなく,この予約を取ることが成否のカギを握ることとなった。帰路のバスは猿倉発 14:30 が最終なため,かなり早い下山を強いられる。この時間に 14 人全員が下りられているとは到底思えず,猿倉に駐車はできないものの送迎は認められることを逆手にとり,足早メンバーが先に下山し,バスに乗って車を取りに下りる前提として帰路のバスは6名分だけ予約しておくことにした。
前夜発、道の駅おがわに着くとみなでテント前で車座で前夜祭。翌朝、すみやかにテント撤収し白馬に移動。駐車場で荷分けをしながら朝食を取りバスを待つ。八方バスターミナルにはわらわらと登山客が集まり、やってきた2台のバス満員で出発する。

猿倉で手早く身支度を整え出発。まずは白馬尻までウォーミングアップだが,あるべきところに小屋が無くトイレだけが建っていた。もともと冬は解体され初夏に組み立てられている小屋だったがコロナで休止して以来ずっとこの有り様らしい。ここから20 分ほど上がると大雪渓が現れ、ここで皆アイゼンを装着する。雪渓に上がるとハッキリと涼が感じられる。

お花畑が広がり村営頂上宿舎が見えるようになるとあと少し。14:30 過ぎにようやく皆が待つテント場に到着する。テント設営は終了しており、空荷で白馬ピストンに行こうかという矢先に「ゴロゴロ」と雷音。白馬山荘すら雲の中。予報は夕立があるとなっており一雨くる公算が高い。

ここで待機する者と合羽を着こみピークを目指す者が分かれる。自分などテントに寝ころびチビチビ練習をし始めた矢先に雷は止み,頂上まで晴れ渡った。これは山の「おいで」という合図。この機を逃さずにと,すでに銘酒大雪渓に沈んでしまった方を残置して待機メンバーで慌てて白馬登頂を果たす。

道中まさか晴れるとは思わなかったのか、青空のしたで雷鳥の親1子5の連隊にも遭遇できた。テン場に戻り野天居酒屋が始まる。乾杯をしてみな車座で各テント食担の競演による先付に舌鼓を打ち始めて 20 分ほど。ポツポツと比較的大きめの水滴が空から落ちてきた。これはヤバいやつということで一旦テントに退避をするやいなやお盆をひっくり返したような土砂降りとなった。いやはやちょっと行動がずれていたらこれを食らっているところだったが全員濡れずに済む。こういう豪雨は長続きせず30 分ほどで止み、青空に大きな虹がかかった。夕方の虹、しかも二重虹は超「吉兆の印」といわれる。この吉兆を使い何事もなく下山したいものだが。
翌朝はまだ暗い 2:30 起床。手早く朝食をとり,荷を纏めテントを撤収し,4:30 各班ごとに白馬鑓に向け出発。しばらく行くと左側(東面)の空からご来光があがる。このあたりは植生帯ではないガレ中心の斜面が続くのだが,なんとコマクサの群生を手近なところで見ることができた。人が入らないかなり下の方にはコマクサのお花畑も確認できた。


白馬はもともとコマクサが多くみられるところだが,こんなコマクサの群生を見たのは初めてだと思う。杓子岳でピークを踏む。白馬鑓は回避ルートは無く、ゆったりとしたペースで登りつつも計画での 8 時より 20 分も早く鑓温泉に向け下山を開始する。

やっと杓子沢から小日向のコルへの覚悟していた登りかえし。コルから来た方を仰ぎ見るとさっきまで見えた。さあここからは猿倉まではガレのない,いわゆる普通に厳しい登山道だ。約1時間程度で済ますにはかっ飛ばすしテンポよく下山する。白馬尻への林道に合流したらもうすぐだ。14:24 猿倉に滑り込む。M原,S木,M杉,S月女さんとともに八方へのバスに乗り込んだ。聞けば誰も入浴していないとのこと。後組はどう考えても下山まで2時間以上はY田さんと邂逅。
17:15LINEでA倉さんと連絡が取れる。H岩班のうちH岩さんを除くメンバー(I手,S澤,M田さん)と途中で怪我をして下山する女性の4人を先行させ,残るA倉班とH岩さんN島さんは猿倉到着 18:30見込みとのこと。そのとおりに 18 時前にI手隊が猿倉に到着へ。「さあ最後の5人,日没になってしまう前に早く下りてこい」と念を送り待つ。猿倉荘前 19:36,あの名曲「サライ」をM原さんが歌う中,ヘッ電を灯したH岩さんを先頭に,全員が「無事」に下山した。(以上 N澤)
【感想 Nさん】
大田山の会に入会して、初めての山行で準備段階からワクワクドキドキしていました。大雪渓では 10 本爪以上のアイゼンが必要とのことで既に冬装備はしまってしまったので、また出すのは嫌だったので、長澤さんおススメの安価でコバの必要ないアイゼンを買いました。
このアイゼン、止め金具が通常外側にあるのに、内側にあり、さすが C 国製?と思いながら、まあ履きやすかったので、良しとしました。
テント泊ですが、3人用テントに3人で、ソロテン泊しかしたことなかった自分にとっては、とても狭くて暑くて息苦しく感じましたが、すぐに眠りに落ちてしまいました。
夜中 1 時にトイレで起きた時、他の 2 人はすやすやと寝息が聞こえてよく眠っていました。さすが山の会の人達、どんな状況でも安眠できるんだな、と思いました。自分はいびきをかくので、迷惑を掛けないか、心配でした。
大雪渓ではC国製アイゼンが好調で淡々と登っていきます。一部とっても寒いところがありましたが、全体的には涼しかったです。
大雪渓って、遠くから見ると真っ白く見えるのですが、近くで見ると黒ずんでいる部分が相当あり、汚れが目立って、そうなんだ!と新たな認識を得ました。大雪渓の後が急登で大変辛く感じました。15kg~16kg のザックを背負っての登山は 9 カ月ぶりだったので、足にきました。村営頂上宿舎に着いて、テント設営をさっとすまして、さあ、白馬岳へ、というところで、雷ゴロゴロ。行くかどうか、大いに迷いました。
でも白馬岳に登ったことがないので、覚悟を決めて向かいました。でもその甲斐があり、雷は遠くに去り、青空も見え始めて、なんて日頃良い行いをしていたのか、白馬岳からは 360°の眺望を楽しむことができました。白馬山荘で雷蔵Tシャツ、手ぬぐいゲッツ。
夕飯、各班の食担の皆さまが作ったご馳走を皆でシェアし、お酒で楽しんでいたところ、大きな雨粒が落ち初めて、冷たい風も吹いてきました。長澤隊長の的確な状況判断&指示で速やかにテント内へ一時撤収しました。
直ぐに激しい雷雨になり、素早い判断で良かったね、とみんな安堵しました。テント内でみんなで肩寄せ合っての時間も良いものです。
雨も止んだので、宴会再開。お腹いっぱい、飲み食べしました。テントに戻り、残ったワインなどをみんなで消費。色々個人的な興味深いお話も聞けて良かった。さあ寝よう、4人用テントに4人、やっぱりメッチャ狭いし暑い。しかし、飲み過ぎもあって直ぐに寝落ち。0 時頃にトイレへ。星空が美しい。東京では難しい、天の川も見えました。
寝床に戻って気が付いたら、3 時の起床時刻になってました。
前日、食べ過ぎ、飲み過ぎが祟って食欲出ず。具沢山のカレーうどん、また食べたいです。さあ、杓子岳、鑓ヶ岳へ出発。足が重い、ザックが重い、M杉さん、S月女さんは淡々と登っていくが、自分は遅れ気味となりました。さすが山の会の人達だ。白馬岳同様に景色がすばらしい。来てよかった。
帰りに白馬鑓温泉にH岩さん、I手さんとまっぱで入る。他の客がいなかったので、お互いに写真をパチパチ。気持ちエー。
そこから猿倉へながーい道のり、アイゼン必要だし、崩落して危険な場所もちらほらあり、気楽に歩ける登山道ではありませんでした。猿倉に着いた時はホッとしました。3 日間、ともに行動していただいた皆様ありがとうございました。車出し、運転をしてくれたS木さん、ありがとうございました。

【感想 I手さん】
再入会して初めての夏山縦走で、久しぶりにテント泊を体験した。
事前に、リーダーからのメールでいろいろ指令が飛んでくる。60L以上のザックについては、手持ちが55Lしかないので、追加のサブ収納で対応。12 本以上のアイゼンについては、冬靴以外にアイゼンを付けたことがなかったので、まさか冬靴で、雪渓超えた先の登山道を冬靴で歩くなんてないよなぁと思い、アイゼンで山靴が傷むことを想定し、予備のお古を引っ張り出してきて、装着検査を行い、さらに予備にチェーンスパイクを持参することにした。そして当日、登山出発地の猿倉にし、登山開始。
久しぶりの大荷物に体がふらふらするので、早々にストックを引っ張り出す。
しばらく行って、大雪渓に取り付く。30 年の登山人生で 3 度目の白馬大雪渓であったが、前回は 10年以上前だったが、アイゼンでは無かった気がする。アイゼンは持っていなかったからである。ということで、アイゼンを使っての白馬大雪渓は初めて経験であった。
中盤過ぎに、左斜面で発生した落石には、肝を冷やした。7~80 ㎝の四角い石が斜面を転げながら落ちてくるのである。
今までも、小さな落石の経験はあったが、今回のそれは、落ちていくときの振動が、地響きとして体感できるものであった。
運良く、我々と同じ標高で止まってくれたから良かったものの、そのまま下方に落ちていったらと思うと、背筋が凍る思いだった。
大雪渓の雪も少なく、途中、アイゼンを付け外ししながら、何とか大雪渓エリアを通過して、遥かな稜線上に白馬尻小屋の姿を見つけた時には、正直言って嬉しかった。

テント場に到着し、4 張分のスペースを確保した時には、この山行も半ばを過ぎたなと思った。テント設営後に雷が鳴ったので、白馬岳登山を少し見合わせ、雷鳴がしなくなってから、山頂を目指したが、途中雷鳥にも出会い、『さすが雷の鳥』だなぁと感心した。
白馬岳登下のお洒落なスカイプラザ白馬で一服して、テント場へと戻り、みんなで楽しく夕食を囲んだ。
二日目、寒さで目が覚め、満点の星空をしばし楽しむ。メンバーが作ってくれた朝食をいただき、テントを手際よく撤収し、準備万端。
予定通り 4 時 30 分に出発。途中、日の出や立山の山々を眺めながら、杓子岳、白馬鑓ヶ岳に登頂し、その先の分岐から白馬鑓温泉を目指した。
途中いろいろあったものの、30 分遅れで、鑓温泉に到着。一昨日オープンしたばかりの露天風呂にカラダを浸した。帰りの時間があるので、ゆっくりも出来ず、そそくさと 12時に出発する。
一つ目の雪渓を超えたところで、しゃがみこんでいる初老の女性に遭遇し、話を伺うと、猿倉から入山し、そこに至るまでに一度滑落して、両手に打撲傷が散見されたので、下山を薦め、共に猿倉へと向かった。2 つ目の雪渓では予備で持ってきていたチェーンスパイクをお貸しして、安全に通過することが出来た。
途中、先行していた仲間たちと合流したが、相談した結果、私が会の女性メンバー二人と、初老の女性を連れて、先に下山することになり、先を急いだ。
しばらく進むと超イケメンの山岳警察と出会い、事情を説明して、アドバイスを受け、先に進んだ。残り二時間辺りから、女性の歩みが遅くなりだしたので、サポートしながら、何とか予定通りの 18 時に猿倉に到着し、事なきを得た。
その後、1 時間 30 分後に最終班も合流して、無事に山行が終了した。いろいろあったが、有意義な経験であったし、大田山の会の人材の豊富さに気付かされた山行であった。