宮崎県大崩山 祝子川・ワク塚・坊主尾根コース

●日時 :2025年6月7日
●メンバー :M月、S木、M杉
●行程 :4:30大崩山登山口~7:00袖ダキ展望所~上・中・下ワク塚~10:00大崩山~12:00坊主岩~14:00大崩山登山口

九州最難関と言われているだけあって、なかなかパンチの効いた山だった。
ルートは最も大崩山(おおくえやま)の魅力を満喫できるコースを選んだ。
九州最難関と言われる所以は、岩場や崩落箇所がありルート上の危険箇所が多く、祝子川(ほうりがわ)の渡渉が2,3日前の雨量に影響されること、ルートファインディングの難しいことが挙げられる。

まず今回の一番の不安材料だった祝子川の渡渉。水位が80cmを超すと渡渉不可能となるが、今回は数日間の好天のおかげで水位が44cmと低かった。
大事をとって岩を飛び移る事はせず、サンダルに履き替えて渡る事とした。水量が多く流れが速い事から、浅瀬を探すのに時間を割かれた。女子3人の山行で万が一の時の不安は大きかったものの、難なく渡渉はクリアでき、一気に緊張は緩んだ。

が、それも束の間、連続するロープやはしごに身が引き締まる。2時間半程で袖ダキ展望所に着く。そこからの下ワク塚、小積ダキの壮大なスケールの岩稜は正に圧巻だ。しばし言葉を失い見とれた。そして「ヤッホー!」と叫んでみた。2秒程して「ッホー!」とこだました。その声は実に遠く、改めて岩のスケールを実感した。

それらの岩肌は縦縞、横縞、斜め縞、ドレープ状ともはやアートの世界だ。今からそれらのトップによじ登る事に思いを馳せ歩を進める。
ところがそうは簡単にはいかない。50カ所以上もあるといわれているロープやはしごをよじ登り、パッと目の前に広がる世界は別天地だった。

上ワク塚のてっぺんに登り詰めると、遠くの中ワク塚のてっぺんに数人のパーティーが立っているのが見える。私達もあんなに小さく見えるに違いないと手を振ってみた。期待は裏切られずに手を振り返してもらえた。思わずガッツポーズをしたくなった。

坊主岩尾根から山頂への道はだだっ広くあちこちにピンクテープがあり、どっちに歩けばいいやらルートファインディングに時間をとられる。急斜面ではないが地味にきつく、何度も立ち止まった。汗だくになりながら大崩山に登頂した。登山口から5時間半、上出来である。お互いを鼓舞し合い英気を養った。

下山は坊主岩分岐まで戻り、大崩山最難関の象岩トラバースへ。道幅が30cm程度でしかも谷側に傾斜していて、谷へは花崗岩ののっぺりした急斜面で踏み外せば何の遮りもなく一気に滑り落ちるであろう。手摺用に張られたロープをしっかり握り一人ずつ慎重に歩いた。どこを歩いていても緊張を強いられる山である。

そして激下りが始まった。 垂直の岩をほとんどロープとはしごだけで下った。

そのはしごも2,3カ所しか固定されておらず不用意に足を掛けると大きく傾く。途中ステップが壊れていたりして、届くはずの1歩が届かず恐怖心が煽られるはしごだった。そんな岩場にひっそりと咲くササユリには癒された。

そして再び祝子川の渡渉地点にまで戻った。疲れた足には川の水が気持ち良
かったが、立ち止まっていると指先がジンジンしてくる冷たさだった。
大崩山登山口への下山は14時。休憩をいれて9時間半の行程となった。
梅雨の合間に増水することもなく青空の元を歩くことができラッキーだった。怪我やヒヤリハットもなく全員無事に壮大な岩山を堪能でき大満足の山行となった。今回は不参加だったが発起人のI塚さん、協力し合ったM月さん、M杉さんには感謝の念が絶えない。「大田山の会 岩女子バンザイ !」