北岳・夏山縦走
行 程
7月12日(金)JR蒲田駅発 20:00=芦安駐車場 23:00(仮泊)
7月13日(土)芦安発 5:00(乗合いタクシー)=広河原発 6:15=白根御池小屋 8:40~9:00=肩ノ小屋 12:00(テント泊)
7月14日(日)C.S. 5:00=北岳 5:26~5:46=肩ノ小屋 6:10~6:40=白根御池小屋 8:10~35=広河原10:30(下山)
メンバー
CL A山、SL N澤、SL E本、M野、H岩、M月、A間、S木、S女、Y本
6月にリーダーをY内さんから交代し、白峰三山の計画を引き継ぐ。
7月の降雨で奈良田~広河原の林道が不通。当初の参加予定は12名。
梅雨明け前で天候も連休後半は雨の予報と計画の修正を余儀なくされ、広河原から北岳肩ノ小屋でテント泊し、翌日、北岳から中白根まで往復し、広河原に下山とした。
12日、JR蒲田駅東口20時集合、N澤車とM月車の6名が乗り、A間さんの車は用賀でE本、M野、H岩の3名と合流とした。
24時前に芦安駐車場に到着、雨は降っていなかったが降雨後の湿気と地面が濡れていて、
ヒルが靴についてテント内に侵入して、駆除に一騒ぎあった。気温と湿度が高く、殆ど眠れなかった。
13日、今回は行動とテント分を以下の3編成とした。
M杉さんとU村さんが体調不良でキャンセルとなったので、メンバー構成にやや偏りができた。
A班:A山、M月、S女、Y本
B班:N澤、A間、S木
C班:E本、M野、H岩
各班で荷分けを済ませ、5時発の乗合いタクシーで広河原に入る。曇り空だったが北岳も見え、今日の天候は持ちそうだった。準備後、6時15分にA班から順番に出発する。日射しがあったが、樹林が続くので日除けになり助かる。暑熱等のストレスと睡眠不足で軽い目眩症状があり、右膝も痛めているので不調だったが、山道を歩いていると体調が整ってくる。
S女さん、Y本さん、S木さんが会泊り山行に初参加だったが、しっかりと歩いているようなので、心強い。
2時間半ほどで白根御池小屋前の広場に到着する。
北岳は雲に隠れているが間ノ岳に続く稜線は見える。水の補給など小休止をして御池から草付の急登が始まる。
草地を抜けるとハクサンフウロや黄色のミヤマキンポウゲ、ヨツバシオガマなど高山植物が目を楽しませてくれる。
ザックの重さが効いてくる頃で、B班はS木さんのサポートで遅れるため、C班ベテランチームに先行してもらう。
左手に大樺沢の雪渓を見ながら高度を上げていくと、斜面のトラバースとなり、砂礫地の広場に出て、
小太郎尾根との分岐下に着く。稜線まで上がると仙丈ヶ岳が大きく見えるが、北岳は稜線の西側からの雲に覆われている。
あともう一息と皆を励まして、岩稜のピークを2つ越すと、北岳肩ノ小屋に着いた。
小屋の左手を下ったテント場に3張分のスペースを確保し、まだ12時過ぎと早かったが皆、
寝不足もあり各テントで寛ぐ。18時過ぎには各テントとも就寝に入る。
14日、3時半起床、5時出発時に「雨の場合は北岳には行かない。」と各リーダーには伝達してあったが、霧雨程度なので山頂に行くことにする。朝食後、雨具を着けて5時出発、ガスで山頂方面は見えない。
30分ほどで山頂に着き、記念撮影をして早々に下る、せっかくの山頂なのに展望が無いのは残念だが、こればかりは仕方無い。テント場に戻り、撤収して下山。小太郎尾根分岐からの途中で、雲が切れて御池や正面の鳳凰三山が見える。
白根御池小屋で雨具を脱いで、さらに尾根を下り11時前に広河原に着く。
芦安までまた乗合いタクシーに乗り、金山沢温泉で汗を流し、帰途に着く。
会夏山縦走としてはやや物足りない感じもしたが、この天候条件では登れただけでも良かったかと思う。(記:A山)
参加者感想
Y本さん
今回、初めてテント泊での会山行、荷物をザックに詰めながら、足りない物は無いか、天候は、期待や不安を胸に準備をしてきました。
広河原駐車場でヒルと戯れながらの前泊、白根御池経由から、初めて観る景色や高山植物等に
心躍らせながら歩いていましたが、流石の急登、肩の小屋テント場に着く頃には脚が棒のようになり、翌日が不安でしたが、初めての北岳山頂を踏む事ができ、感無量でした。
チームで囲む美味しい食事、先輩方の体験談、テント内のルールなど、初めての事だらけでしたが、とても楽しく勉強になりました。今回の会山行での経験を、次の山に活かしていきたいです。
先輩方の健脚、体力の凄さに驚かされ、これからも会山行に参加して経験を積み、体力造りをしながら色々な山を登って行きたいです。ご一緒した皆さん、ありがとうございました。
S木さん
天気予報では小雨模様、テント泊で3000メートル以上の高山、しかも展望は期待できそうもない悪条件下でキャンセルをするつもりでしたが、2泊の予定が1泊に変更になって、少し気が楽になり参加を決めました。
やはり日本で2番目に高い山への道のりは厳しいものでした。特に空気が薄いところでの歩行はきつく、ゆっくり歩いていただいているにもかかわらず、息切れと倦怠感と眠気で思うように足が前に出ず、共同装備を同じグループの方に持っていただき、更に自分の水までも持っていただきなんとか肩の小屋のテン場に辿り着く事ができました。
翌日、目覚めた時から頭痛薬を飲み、荷物はデポして空身で山頂を目指し、霧雨の中ゴツゴツのガレ場を50分程登り、ついに登頂できました。山頂からの展望はガスで真っ白でしたが、ハイタッチを交わして頑張った事をたたえ合い、達成感を味わえました。
下山では、行きには愛でる余裕もなかった高山植物達に目を向ける事ができ、北岳草を探しましたが、どうやら時期が遅かったようです。下山後、他のグループでも苦しい時にはお互いに声をかけ励まし合って歩いたとの声を聞いて、苦しいのは私だけではなかったと胸をなでおろす気持ちでした。
テントの中では、食担の方が何を作ってくださるのか、よもやま話をしながら膝をつき合わせてじっと待つのも楽しかったです。山の楽しみ方はバラエティーに富んでいる事を実感できた山行となりました。
辛かった分、登頂できた喜びはひとしおですし、何よりも荷物を分け持ってくださり優しく励ましてくださった仲間に感謝です。今までに味わった事のない喜びを感じ、得たものが沢山あった山行となりました。参加して良かったです。
S女さん
今回、初めて会の夏山山行に参加させていただきました。
山については皆さんお詳しいので、今回はお世話になった感謝の気持ちを込めて報告します。
今年は白峰三山と聞いてすぐに「行きたい!」という気持ちになりました。
北岳~間ノ岳の縦走は景色が良く、大きな富士山を真横に見ながらの歩きに憧れていつか行かれたらと夢を抱いていたからです。しかし、我に返ってみるとそこには越えなければならない幾つものハードルがありました。60Lのザックを背負って6時間歩行、テント泊は未経験、最終日農取岳〜奈良田までのロングコースを下山等々。 地図を見れば見るほど、顔は青ざめ心は暗くなるばかり。「やはり夢は叶わずか・・・」諦めかけた時、親しいメンバーから「まだ時間があるから出来ることを準備してチャレンジしてみたら?」と励まされました。まずは15Kgの重さを体感。通常装備に2Lペットボトル水4本追加して片手で持ってみる。第一声「嘘でしょ?ありえない!」背負っても、ふらふらして足がスムーズに出ない。
A山会長にアドバイスいただき、足首にウェイトを付けて筋力アップトレーニング開始。
5Kmでヒィひぃ、10Kmでハァはぁ、20Km歩行後は、もはやザックを放り出していた私でしたが訓練を経てなんとか普通に歩けるまでなりました。
それでも「途中動けなくなったら迷惑を掛ける。全体の安全にも係わるから」と参加表明に二の足を踏んでいた折、会の方々から「出来るところまで頑張ったら、最後は助ける」「パーティは家族だよ」と温かい言葉で背中を押していただき参加を決意できました。本当に嬉しかったです。よし頑張るぞと気分も高まり心は期待に満ちていました。が、なんと天気が崩れるとの予報あり。「もはや中止か」と残念な気持ちでいたところ、予定を変更して北岳を目指すとの一報がありました。
こうして山行当日を迎えたのでした。
一日目の登りは予想通りキツかったですが、天気が良かったのと美しい花々が疲れを忘れさせてくれました。また苦しい場面で、会の皆さんが声を掛けてくださったのが大いに励みになり力が湧きました。
慣れない私を終始導き支えてくださったA山会長、美味しい食事を準備してくれたM月さん、共に頑張ろうと励ましてくれたY本さん、同じ班の皆さんをはじめ参加されたメンバー、そして今回ご一緒できなかったメンバーの皆さんからもアドバイスや歩荷練習で多くのサポートをいただきました。感謝の気持ちでいっぱいです。
霧雨の中の北岳登頂は少し残念でしたが、私にとってはそれ以上に皆さんから思い出と仲間という宝物をいただいた夏山山行でした。下山途中で見えた鳳凰三山は次の目標です。会山行を通じて皆様との交わりを深め少しずつ経験を積みながらひとつでも恩返しできるよう努めますので、ぜひまたご一緒させてください。