【会山行・ 雪山訓練2 】谷川岳
日時:2025 年 1月 24日~26日
メンバー:
A班:A山,H岩,R角,O野,R田,N原
B班:N澤,K田,M野,M月,H口,S澤,M杉
今シーズンは雪が多い。今回雪訓Ⅱを行う谷川岳もご多分に漏れず,天神平スキー場で3m超の積雪を記録しており,雪崩講習等の訓練を行うのはうってつけのコンディションとなった。
ただ天気は,初日は安定するとの予報を考慮して,熊穴沢避難小屋付近にて幕営後にそのまま空荷で登り,その日のうちに登頂して,訓練は日曜日とすることにした。また金曜夜の前泊地が,湯檜曽の奥利根スノーパークスキー場そばの「冒険小屋ゲストハウス」という宿をおさえられたので,前泊就寝前にパソコン&プロジェクターを持ち込み事前の雪崩講習を実施するという初の試み。結局25時すぎまでの宵っ張りの講習になった。


翌25日(土),6時起床。自炊設備があるので湯沸かし,レンジを自由に使い朝食を手早く済ませ7時に宿を後にする。これでお布団暖房の部屋に泊まって4千円はリーズナブル。ここから谷川岳ロープウェイのベースプラザまで30分かからない。
昔はこのベースプラザや土合駅で前泊したものだが,経営が星野リゾートに変わり駐車場が無料になった…とはいえ,ここにテントを張るのはハードルが高すぎる。何故か天気が良いのにスキー客が少ないロビーでリフト券を買い,すんなり9時過ぎにはロープウェイ頂上駅に降り立つ。ビーコンチェックもそこそこに,A山会⾧をリーダーとしたA班,自分が率いるB班の順で出発する。
今回「雪山においても地図読みを」とのことで,各自地理院地図とコンパスを使用しながら進む。またB班は雪山歩行に慣れてもらうため,アイゼンを履かずにツボ足・キックステップにより雪斜面に取り組む。
11:15熊穴沢ノ頭に到着。今度はテント班ごとに別れて,手早く幕営を済まし,宿泊用品をデポし,12:30過ぎには再びAB班でピークを目指し始めた。
時折日が差すことはあるものの,標高を上げるに連れ風は強まりガスも濃くなっていく。風もあるが吹きっぱなしというわけでないのが救いだ。14時,全員で肩の小屋に入る。
正直定員オーバーだが,しばし風雪から逃れられるのは有り難い。小屋から出ると,ますます風雪は強まってきており,早々にトマの耳にA班,B班と登頂,踵を返す。熊穴沢にあるテントが見えるくらいのところのやや強めの斜面で,先行していたA班が滑落停止訓練を始めていた。B班も続く。ピッケルも持っているだけではただの杖である。滑落した時に,いかに雪面に抵抗を与え,自らの滑りを抑えられるか。身体で覚えたことは,咄嗟にでるものだ。
16時過ぎ,降雪が強まる中,テントに戻る。R田さんが,おもむろに一人雪洞を掘り始める。テントでM月さんの鍋を食した後,一人雪洞に引き上げていった。

翌朝,6時起床。一晩降り続いた雪は止み,東の空に太陽が見える。今朝は7:30に行動開始としているので,1時間半で朝食をすませなければならない…のに朝の食担R田さんがテントに現れない。雪洞で冷たくなっていないことを祈りつつ,R田さんの食材を確認すると乾麺のうどんが出てきた。
これを茹でるには大量の湯と⾧い茹で時間を要する。慌てて,前夜メンバーに割り振ったテルモス湯をかき集め,現れないR田さんに構わずうどんを茹で始める。6:15静かな雪洞から,冬眠から起きた熊のごとくR田さんがテントに入ってきた。

為は,ビーコンが指し示した付近で傷病者を見つける,という非常に切迫した状況下で行うことになる。一投げでプローブが組み上がらないようでは使い物にならない。
手早く朝食を済ませ,なんとか7:30に2日めの訓練を開始する。まずは,全員にプローブを投げてもらう。雪崩時にプローブを組み立てるという行まさに習うより慣れろ,なものである。やれば必ず上手くなる。


一方,こちらは雪面観察の準備のために斜面を切り出す。昨夜降った雪は20cmほどか。すぐに分かる弱層が浅いところですぐに見つかかる…がその下からは1m掘っても弱層らしきものがない。
この雪訓の週は関東は3月下旬の気温の日が続いた。これが弱層を形づくった原因なのは明らかだが,その下に弱層が無いのはどうしてか…。弱層を見やすくする青スプレーをかけてみるも,あまり効果がなく企画倒れとなる。

その後のコンプレッションテストは全員が弱層のズレ滑りを体感でき,「弱層」「弱層」と言っている意味が理解してもらえたか。
続いて埋没体験。2穴掘り, 一つは顔を埋めない半埋没

もう一つはホースを突っ込み,頭まで埋めてしまう完全埋没を体験してもらう。
雪崩あわず雪に埋まらないのに越したことはないが,これも体験しているしていないで,実際の雪崩現場で取るべき行動の一助になってもらえれば幸いだ。


最後にA班vsB班でのビーコン探査ゲームで締める。N原さんM杉さんの迫真の小芝居を皮切りにスタートし,埋められたビーコンを探査掘り出しを行うものだが,A班が8分15秒と惜しくもB班に15秒及ばない結果となったものの,どちらも十分な結果と言えよう。
感想
〇N原さん
8リットルの水作り、終わらない雪かき、生き埋めなど、様々な苦役を体験した。
そのおかげでまた少し雪山の楽しさ、そして生き抜く方法を学べた雪訓だった。また、吹雪の中、ギチギチの避難小屋でみんなで休憩したこと、その後に登頂できたことは忘れられない思い出となった。


〇M野さん
2025年度の雪訓2、個人的には2年ぶりの参加となりました。
今回の雪訓は、おそらく初の試みである前泊地での机上講習と、初日にピークハント、2日目に雪上訓練という構成で実施されました。机上講習は主に雪崩についてYouTubeの動画も交えて基本的な知識を学び、実際に雪上でのコンプレッションテストへとつながる内容で、実際に雪山登山の前にコンプレッションテストを行うようなことはまずないとはいえ、雪山で一番のリスクと言ってもいい雪崩に対しての実践を伴った知識の習得はとても有意義だと感じました。
2日目の雪上訓練は他にビーコン探索のシミュレーションと埋没体験で、ビーコン探索は毎年実施していると思いますが、いつもプローブの使用については反省点が多いです。あらかじめ埋めてあるターゲット(ちょっとかさ増ししたビーコン)の表面積が実際の人間よりかなり小さいというハンデがあるとはいえ、これまでプローブでヒットしたところを掘って発見というセオリー通りになったことがありません(自分の経験では)。サーチ側のビーコンで距離を詰めて、プローブ探索ではヒットせずとも掘っているうちに発見となるため、ブローブ使用の訓練ができているかイマイチ不明なのですが、今回も同様でした。
埋没体験で埋まっている人に対してプローブで「人間にぶつかる感触」というのは一応体感するものの、プローブについて他に実践的な訓練方法があればいいなと思います。最後に、1泊2日の限られた時間で色々体験できるような訓練メニューを組んでくださったリーダーの⾧澤さん、ピークハント&訓練班のメンバー、共にすき焼きをつついたテント班のメンバー、他参加者の皆さま、ありがとうごさいました。

