赤岳東稜

  • 日時:2017年2月3日~4日
  • メンバー:I西、seb
  • ルート:02/03:スキー場山頂 (16:13) – 牛首山 (17:42)   02/04:牛首山 (4:30) –  トラバース終了点(7:40) –  緩やかな雪稜(9:44) – 第二岩場ロープ使用開始(10:39) – 竜頭峰山頂(13:55) – 牛首山(17:02) – スキー場駐車場(18:41) 

体力勝負の山行は個人の目的で、初めて冬季の雪山バリエーション(阿弥陀岳北西稜は4月で冬季とは言えない)。今まで赤岳東稜は大田山の会で記録なし。前泊日帰りを考えていたが、やはり寝ないとまずいから、3日午後半休とって、まだ明るいうちに歩き出した。ずっと快晴、気温が割りと暖かくて、稜線に出ても無風、天気的に最高のコンディション。樹林帯を越えたら何処から見ても景色が素晴らしい。
3日:スキー場に着いたら、真正面は赤岳と東稜が見える。

真正面は赤岳と東稜が見える

16:00過ぎ歩き出して、少し進むと樹林帯の中なのに所々展望が開いて、赤く染めていく富士山と南アルプス、奥秩父の山を眺める。

雪が少なそうな富士山
日の出前、赤く染めていく富士山と南アルプス

牛首山の手前までシッカリしているトレースを辿るけど、最後の方はラッセルになる。1時間半が経ったら牛首山について、テントを張る。
4日:まだ未使用のワカンをつけて、4時半に歩き出してしばらく平坦に近い樹林帯を歩く。斜面が急になる頃日の出が現れて、雲が一つも無いのであまり期待はしていなかったけど意外と綺麗(日の出は雲海があったほうが圧倒的に綺麗)、権現岳ー朝日岳方面の迫力に圧倒される。

権現岳、朝日岳方面。迫力に圧倒される。
赤く染めてきた天狗尾根

クランポンとアックスに変えて数分後トラバース開始。雪が深くて、所々腰まで沈んで、一歩を進むにはかなり時間がかかるトラバースだったけど、高度勘が少なくて、雪崩のデブリもなかったから、緊張は特にしなかった。

全く緊張しないトラバース

東稜を通して激しいラッセルになる。トラバースが終わったら、取り付きまで雪が深い急斜面は精神力が強いられる。取り付きから特にロープを使わず、第一岩場が右から巻く。さらに急になって、ラッセルは大変。

この急斜面をラッセルしながら直登

足の下の雪が柔らかすぎて、時に100cm程度沈んで、目の前は雪の壁になって、一歩を進むには手で段を作って、足で少しずつ硬くして体重を乗せて、1分程度かかる。それでも体重で雪が崩れると、また最初からやり直し。ある箇所は5分程度動けなかった気がする。進むしかないから、これを乗り越えたら雪が硬いところを歩くかもと自分をごまかして進む。先行を歩いているIさんの声「セバスチャン」「大丈夫か」が聞こえるけどお互いが見えない。

先行を歩いているIさん

トラバースが終わってからラッセルを2時間ひたすらしたら緩やかな雪稜(東稜のハイライト)に出る。稜線の曲がっているラインが見えて、ラッセルの大変さを忘れてとにかくその美しさに満たされる。急斜面よりナイフリッジの雪が硬くて快適な膝ラッセルになる。

この雪稜を歩くために、この写真を撮るためにここまで来た
比較的に雪が硬くて膝以上沈まないナイフリッジ

両側切れているので、慎重に進むけど風もなくて特に緊張はしない。

取り付き、左からダブルアックスを使って登攀する

第二岩場に着くと、ロープを出す。交代で4ピッチ(グレードIII、1と3ピッチ目私、2と4はIさんリード)をダブルアックスで登攀する。1と2ピッチ目は岩場を左から巻き込む。木が多いのでランナーを取ることが簡単。所々草付きが見えてアックスもクランポンもようやく効いて気持ちよく登れる。

2ピッチ目を登っている途中、登攀中写真を撮る余裕があるのはそこぐらい。
ビレー中のIさん

3ピッチ目は左のルンゼを直登する。同様にアックスが効いて快適だが、4ピッチ目尾根は這松帯になってかなり沈む。手で段を作っても体重が持たなくてかなり沈んでまた雪の壁が顔より高くなる。まさに雪を泳いでいるかの様に前に進もうとしている自分。さらに尾根の北側の急斜面を登るので日陰になっていて急に手袋が凍りかかって、指が痛い。4ピッチ目がやっと終わったら竜頭峰がすぐ目の前に見える。

竜頭峰山頂直前
独占していた東稜に比べると赤岳山頂が込んでいた(当たり前)

ロープを片付けてから1分で山頂に着く。阿弥陀岳や権現岳方面や南アルプスの展望が広がって、北アルプスや谷川岳方面もばっちり。

竜頭峰から見た権現岳と南アルプス方面
竜頭峰から見た阿弥陀岳、中央アルプス北部、御岳、乗鞍方面
竜頭峰から見た南アルプス方面
竜頭峰から見た南アルプス方面とこれから下山する真教寺尾根
竜頭峰から見た阿弥陀岳と北アルプス方面

山頂について、数分経ったら下山開始する。真教寺尾根の上は鎖が多くて3つしか出てなかった。途中で東稜の雪稜が見えて、1パーティーが歩いている、うちらのトレースで簡単でガッカリしてるだろう。当然トレースがなくて、慎重にクライミングダウンする部分もある。雪が柔らかくてアックスは横にある岩に効かせる。スリップしたら間違いなく大怪我になるだろう。東稜ほど雪がなくて腿程度のラッセルで良かった。斜面が少し緩やかになったところまた樹林帯になって、再びワカンを履く直前また胸まで雪に沈んだ。そのあとトレースがシッカリあって、苦労せず進んで、途中で4人テントが張ってあった(東稜を歩いているパーティーかな)。牛首山まで平坦に思えるぐらい緩やかな斜面になる。

17:00頃テントに戻る

テントをしまったところ暗くなっていた。最後はスキー場をあるいて、油断しながら2人とも2回ほど滑って落ちた、斜面が緩やかなので加速しなくてすぐ止めた。意外と何もないところが一番怪我しやすいかもしれない。
まとめると素晴らしい天候と景色、歩く価値のあるルート、技術的に易しいけど急斜面ラッセルは精神的にキツいそして良い運動。

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