明星山 P6南壁 フリースピリッツ

日時:2024 年 11 月 9日

メンバー:O俣ガイド、O野、I村さん(会員外)

登山系ユーチューバーのガイドもしているO俣さんの案内で、明星山 フリースピリッツに登ってきました。
明星山の読み方は、クライマーの中では「みょうじさん」で定着している様ですが、地元では「みょうじょうさん」と呼ばれているそうです。この報告でも、地元に敬意を払い「みょうじょさん」で統一します。白馬の「しろうま」と「はくば」と同じですね!

明星山 P6南壁 フリースピリッツ 概要
明星山 P6南壁は300mを超える石灰岩の大岩壁。
その中でフリースピリッツはフリークライミング黎明期(フリーの概念がまだ日本に定着する前)に開かれた、この壁を初めてオールフリーで登った画期的かつ代表的なルートです。廣川健太郎さんの青本「アルパインクライミングルートガイド」(左下トポ)では、15P ルートグレード5級下、ピッチグレードⅤ+(5.8)壁の弱点を突いて、巧みにハングを回避して登る為にトラバースが多く、ラインは複雑。岩も脆い部分もあるので、中級以上の力のあるパーティ向きのアルパインルート。トラバースも多い為、フォローでも絶対に落ちる事は許さ
れません。

 アプローチ
アプローチは駐車場から取付きまで約20分、今の秋口は水が
少なく、渡渉はロープが張ってあるので大きな問題はありません
でした。他の山行報告を見ると、春先は水量も多くてアプローチ
敗退しているとの記載もあるので注意は必要です。
取付きは草や木の間にある岩なので、やや分かり難いです。

前半の核心 ウメボシ岩 6P目 Ⅴ+(5.8) 30m
急な凹角を左から登り、ウメボシ岩を右に出て、クライムダウン気味にトラバースするピッチ。ウメボシ岩の乗越も厳しいが、
その後のクライムダウン気味のトラバースが特に嫌らしい。落ちる事は許されないので、私は残置スリングでA0しました。
登攀当日のウメボシ岩は、滲み出しで濡れていて雫が滴ってくる状態でかなり悪かったです。

9P目 Ⅴ(5.7) 30m
ハング間のカンテ裏の凹角をクラックから越し、緩
傾斜へ行くピッチ。
このクラックは結構嫌らしいです。実は私、ここで
不覚にも落ちてしまいました。
13P目 Ⅳ 30m
パノラマトラバース
全体のハイライト
噂のパノラマトラバース
難しくはないけど、
高度感半端ない‼
後半の核心 14P目 Ⅴ+(5.8) 40m
事実上の終了点。パノラマトラバース後の凹状のカチ中心の垂壁フェース。
既に10P以上登っている為に、私はヨレヨレでかなり辛かったです。

登攀の終了
事実上の登攀終了点は14P目ですが、更に南山稜まで3~4P程ですが、
ロープを付けた方が良いと思います(Ⅲ~Ⅳ級)。
ここで長かったフリースピリッツ登攀は終了ですが、実はこの後の下山も結構しごかれます。
この松の木が西面下降路の踏み跡の目印
下山
下山は2h程ですが予想以上に大変でした。
まず左岩稜と合流して正しい西面下降路の踏み跡に乗るまでが非常に分かりにくい(藪漕ぎの連続)。
合流後は急峻な斜面の下り(フィックスロープや赤テープあり)。その後、やや傾斜が緩くなるとズルズルの斜面。
渡渉で導水管の上を渡る場合は、最後に5~6m程の垂壁クライムダウン(出来ればロワーダウンが安心)があるので、最後まで気が抜けません。

明星山 P6南壁 フリースピリッツ まとめ
フリースピリッツは名前とは違い、とちらかと言えばドロドロしたアルパインルートです。
ラインは複雑で、トラバースやクライムダウンも多く、フォローでも落ちる事は許されない為、仲間同士で行く場合は、実力が
揃ったパーティで行くべき必要があります。
それ故にアルパインクライミングの実力を確認する非常に良いルートです。
もはや今の私の実力では、他の方をここに引っ張っていく力はありませんが、勢いのある若手が中心となり、ぜひ大田山の会
でも定常的に登るルートの一つとする事を期待しています。

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