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2017-06

リニア中央新幹線の現場2「棚ノ入沢の実態」実験線秋山トンネル

「100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」
平成13年 長野県知事田中康夫による「脱ダム宣言」の一部である。短い言葉で明示された価値観とビジョンは、時代を問わないものではないか。「河川・湖沼の価値」とは、それに依存して命をつなぐ動植物までも含めたことであるのは言うまでもない。
「コンクリートのダム」に対して「緑のダム」という言い方がある。森林とその土壌による保水力を指すものだ。しかし、緑のダムも実はその地下の地盤が再び地表に水を導かなければ、水の循環は成立せず、水が生命を育むことはできない。山体そのものが巨大な貯水池であり、地下の地盤はあらゆる標高で縦横無尽に巡らされた配水管のようだと思う。重要なことは、このしくみが様々な時定数のバッファーを持ち、直近の降水量に関わらず常に一定の水を供給してくれることだ。利水と治水での運用が相反するコンクリートのダムと違い、緑のダムでは地表から地盤までを含めたおおきなしくみで利水と治水が両立されている。海洋による地球規模の水の循環があっても、このしくみなしでは地上の動植物の多くが生存できないのである。

赤鞍ヶ岳(朝日山)頂上
リニア中央新幹線、林道などと違い住民と密着し公共性の高い鉄道の建設が、自然破壊としてこれほど批判されることはかってあったのだろうか。子孫に残すべき資産を、これほどまで大規模かつ非可逆的に破壊する可能性のある建設がかってあったのだろうか。駅も作れない遠い山奥にトンネルを掘って、大都市間だけを高速で結んだところで、従来の新幹線の代替にはなりえないことは素人にも分かる。それはそれとしても、我々は納得する以前に、代償として失うものが正しく理解されたうえでそれが行われるのかという疑問を持つとともに、登山のフィールドを守りたいと素直に願う。トンネルは森林を直接破壊しない反面で、自然の貯水地と配水管を非可逆的に破壊し、想像を絶する量の残土は(永久的な養生をすれば別だが)積み置くかぎり降雨のたびに流れだし最終的には河川・湖沼を埋めていく。沢は最も顕著に工事の影響をうけるものである。我々はそれが実際にどの程度のものなのかを、この目で見て確認したいと思っている。 2017/4/22 山梨県上野原市 秋山川・棚ノ入沢の水涸実態調査はその第一歩であった。この日都合がついて集まった大田山の会会員は17名(全会員の1/4程度)、登山のスタイルは人それぞれだが、真実を見つめたいと願う登山の精神は共通している。

川床をさらす東棚ノ入沢

 所々にある溜り

 最源流で僅かな水流が復活する

手入れされた植林帯の急登

今回訪れたのは奥道志と前道志の間に谷を刻む秋山川、相模川(桂川)の水系である。

秋山川は無生野で雛鶴峠を源頭とする楢山沢と赤鞍ヶ岳(朝日山)を源頭にする棚ノ入沢に分かれる。源頭の標高、水量は棚ノ入沢が優り、秋山川の主流の格をもつ。棚ノ入沢は下流に「王見の滝」がある。この滝は水量を客観的にはかるのに好都合である。リニア実験線の伸延によって棚ノ入沢の下にトンネルが掘削され、底を抜かれた棚ノ入沢は水量が減じたといわれる。実際、2011年に涸れた「王見の滝」の動画も存在している。今現在どうなのか?復活してくれてはいないだろうか。我々はまずこの滝を見た。

地形図の道は荒れ滝の通過もあり危険



この日は滝の水流は主流の他に右脇にもあって2条となっていた。往時の水の多い時とは比べるべくもないが、まずまずの水量である。やはり復活しつつあるのだと私は内心胸をなでおろした。滝の上下流は堰堤が連続し、乏しい水は全て堆積した土砂に吸い込まれ、所々に溜まりがあるものの水流のない川床がむき出しになっていた。再び連続して水流が出るのは源流部の極く短い距離である。この状況からは、未確認だが無生野から上流では現在は水生昆虫、渓魚、カワガラス、カワネズミなどの顔なじみ達はなくなったとみて良い。我々は西棚ノ沢から離れさらに尾根をつめてサンショ平に登り、赤鞍ヶ岳(朝日山)と棚ノ入山に足を延ばし植生への影響について確認した。下山は地形図にある道を下り他の源流部を見た。荒れた沢にやはり水流はなかった。地形図の道は崩壊しており、ちょっとしたゴルジュ帯の滝の下降は危険であり入り込むべきでない(もちろん踏み跡はない)。我々は調査のために、必要に応じてロープも出しながら通過した。帰路、東棚ノ入沢にも寄ってみたが、西棚ノ入沢と状況は似たようなものであった。

13日後の5/5私は再び「王見の滝」に来た。脇の流れは消え、主流の流れも細くなっていて、前回もった復活の期待は完全に裏切られた。降水量に大きく影響される安定しない水量、このまま雨が少なければ、いずれ滝は涸れるであろう。

2017/4/22王見の滝
(2条の水流がある)

2017/5/5王見の滝
(右の水流は消えた)
確かに自然は人知を超えて偉大であり、はかり知れない回復力やバランスを持っているだろう。しかし、その上に生きる生命はあまりに弱く一瞬であり、自然のちょっとした変化で根こそぎ断たれる存在である。棚ノ入沢の水量が減ったかわりに、都留側の沢の水量が増えたという報告もある。真偽は不明だが当然ありえることである。しかし、その新たな沢が深い谷を刻み、生命を育む安定した環境を作り上げるのには生物にとっては気の遠くなる時間が必要だ。人為的な破壊に見ないふりを決めこめば、赤鞍ヶ岳(朝日山)のハイキングは、植林帯を抜けるとブナも芽吹き気持ちの良い尾根歩きが今も楽しめる。だからと言って、それで良いのだろうか?20年後どうなのだろうか?リニア実験線秋山トンネル3km、リニア中央新幹線南アルプス等のトンネル100km※。そこにあった風景や匂い、生命はなかったものだと割り切って笑顔でいられるものだろうか。

 

※品川~名古屋間246.6kmのトンネルのうちの主なものの総延長。 その多くが山岳地帯を通過する。

以上   今西

スッカン沢・桜沢(2017年6月18日)

2017年6月18日にI西、K井、mizuki、konの4人で栃木の高原山を源頭とする鹿股川にあるスッカン沢・桜沢に沢登りに行って来た。スッカン沢の名前の由来はこの水が高原山のカルデラ跡を水源とし、鉱物や炭酸等の火山の成分が多く含まれていて辛いため「酢辛い沢」と呼ばれ、今の「スッカン沢」になったそうだ。また鉱物や炭酸等の火山の成分によって川は「スッカンブルー」といわれる青い美しい色をしている。また隣の桜沢とともに多くの美しい滝がありとても楽しめる沢だった。kon
(今回のコースタイム:山の駅たかはら5:50~(八方ヶ原線歩道経由)~7:00スッカン沢入渓~7:25雄飛ノ滝~7:40仁三郎ノ滝~(一部雄飛の滝線歩道経由)~8:30桜沢出合~8:35咆哮霹靂ノ滝~9:35雷霆ノ滝~11:05おしらじノ滝~11:30県道56号線~11:50山の駅たかはら)

「山の駅たかはら」に車を止めて、5:50に八方ヶ原線歩道をスッカン沢の出合に向けて出発。
   雷霆の滝を越えてしばらく進むと桜沢に掛かる「雷霆ノ吊橋」がある。ここを越えてスッカン沢に向かう。
  7:00にスッカン沢に入渓し、遡上を開始する。やがて「スッカン橋」が見えてくる。
  スッカン沢の水の色はスッカンブルーといわれる美しい青色している。
  高原山のカルデラ跡を水源としており、鉱物や炭酸等の火山の成分が多く含まれているため青い色になっているとのこと。
  少し先には右岸に柱状節理の岩壁がどこまでも続いている。
  「雄飛ノ滝」が見えてきた。
  10mほどの美しい「雄飛ノ滝」だがこの滝は登れないので左岸を巻く。
  やがて「仁三郎ノ滝」に着く。ここは水流の右側から登ることができる。I西さんがリードで登り、後続を確保。途中に支点がないので岩角でランニングをとる。
  「仁三郎ノ滝」を越えるとその先はこれといった滝はないので左岸の上部に通っている「雄飛の滝線歩道」を戻る。
  「スッカン橋」まで戻り、桂の大木の横から再び「スッカン沢」に入渓。
  少し沢を下ると、右には東北大震災で崩落した多くの岩が見えてくる。その先には通行禁止となっている「雄飛の滝線歩道」の一部が見えている。
  桜沢の出合に到着。ここから右が桜沢だ。
  出合から少し桜沢を遡上するとすぐに「咆哮霹靂ノ滝」が見えてくる。
  この滝は「咆哮霹靂ノ滝」の内、左側にある「霹靂ノ滝」だ。こちらは登るのが大変そうなのですぐ右にある「咆哮ノ滝」を登ることにする。
  「咆哮ノ滝」はロープを出さず左の方を登る。それ以外の場所はヌルヌルで怖くて登れない。
  「咆哮ノ滝」のすぐ上部にある滝。
  やがてナメが現れる。
  幅がとても広い滝は右端から越える。
  4段ほどの滝。
  やがて「雷霆ノ滝」に到着。
  I西さんがロープを引いてフリーで登り、後続を確保して全員が越える。
  このような小さな滝がいくつか出てくる。
  二俣に見えるインゼルの付近から沢は涸れてくる。
  さらにしばらく行くと幻の滝と言われる「おしらじノ滝」に着く。
  エメラルドブルーの滝壺が本当に美しい。この日、水流は無かった。ここは登れないので左岸を巻き、落ち口に降りる。落ち口の左岸の大岩の上には石碑が建っていた。
  涸れた3mほどの滝を越える。
  ついに遡上の終了点である県道56号に出合う。ここからを県道を通って20分で「山の駅たかはら」に戻って来た。出発してから6時間の楽しい沢登りだった。
 

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