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2017-06
リニア中央新幹線の現場2「棚ノ入沢の実態」実験線秋山トンネル
- 2017-06-20 (火)
- 会員の投稿(山行の雑感など)
「100年、200年先の我々の子孫に残す資産としての河川・湖沼の価値を重視したい。長期的な視点に立てば、日本の背骨に位置し、数多(あまた)の水源を擁する長野県に於いては出来得る限り、コンクリートのダムを造るべきではない」
平成13年 長野県知事田中康夫による「脱ダム宣言」の一部である。短い言葉で明示された価値観とビジョンは、時代を問わないものではないか。「河川・湖沼の価値」とは、それに依存して命をつなぐ動植物までも含めたことであるのは言うまでもない。
「コンクリートのダム」に対して「緑のダム」という言い方がある。森林とその土壌による保水力を指すものだ。しかし、緑のダムも実はその地下の地盤が再び地表に水を導かなければ、水の循環は成立せず、水が生命を育むことはできない。山体そのものが巨大な貯水池であり、地下の地盤はあらゆる標高で縦横無尽に巡らされた配水管のようだと思う。重要なことは、このしくみが様々な時定数のバッファーを持ち、直近の降水量に関わらず常に一定の水を供給してくれることだ。利水と治水での運用が相反するコンクリートのダムと違い、緑のダムでは地表から地盤までを含めたおおきなしくみで利水と治水が両立されている。海洋による地球規模の水の循環があっても、このしくみなしでは地上の動植物の多くが生存できないのである。
赤鞍ヶ岳(朝日山)頂上 |
![]() |
![]() 川床をさらす東棚ノ入沢 |
![]() 所々にある溜り |
![]() 最源流で僅かな水流が復活する |
![]() 手入れされた植林帯の急登 |
秋山川は無生野で雛鶴峠を源頭とする楢山沢と赤鞍ヶ岳(朝日山)を源頭にする棚ノ入沢に分かれる。源頭の標高、水量は棚ノ入沢が優り、秋山川の主流の格をもつ。棚ノ入沢は下流に「王見の滝」がある。この滝は水量を客観的にはかるのに好都合である。リニア実験線の伸延によって棚ノ入沢の下にトンネルが掘削され、底を抜かれた棚ノ入沢は水量が減じたといわれる。実際、2011年に涸れた「王見の滝」の動画も存在している。今現在どうなのか?復活してくれてはいないだろうか。我々はまずこの滝を見た。

地形図の道は荒れ滝の通過もあり危険
この日は滝の水流は主流の他に右脇にもあって2条となっていた。往時の水の多い時とは比べるべくもないが、まずまずの水量である。やはり復活しつつあるのだと私は内心胸をなでおろした。滝の上下流は堰堤が連続し、乏しい水は全て堆積した土砂に吸い込まれ、所々に溜まりがあるものの水流のない川床がむき出しになっていた。再び連続して水流が出るのは源流部の極く短い距離である。この状況からは、未確認だが無生野から上流では現在は水生昆虫、渓魚、カワガラス、カワネズミなどの顔なじみ達はなくなったとみて良い。我々は西棚ノ沢から離れさらに尾根をつめてサンショ平に登り、赤鞍ヶ岳(朝日山)と棚ノ入山に足を延ばし植生への影響について確認した。下山は地形図にある道を下り他の源流部を見た。荒れた沢にやはり水流はなかった。地形図の道は崩壊しており、ちょっとしたゴルジュ帯の滝の下降は危険であり入り込むべきでない(もちろん踏み跡はない)。我々は調査のために、必要に応じてロープも出しながら通過した。帰路、東棚ノ入沢にも寄ってみたが、西棚ノ入沢と状況は似たようなものであった。
13日後の5/5私は再び「王見の滝」に来た。脇の流れは消え、主流の流れも細くなっていて、前回もった復活の期待は完全に裏切られた。降水量に大きく影響される安定しない水量、このまま雨が少なければ、いずれ滝は涸れるであろう。
![]() 2017/4/22王見の滝 (2条の水流がある) |
![]() 2017/5/5王見の滝 (右の水流は消えた) |

※品川~名古屋間246.6kmのトンネルのうちの主なものの総延長。 その多くが山岳地帯を通過する。
以上 今西
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スッカン沢・桜沢(2017年6月18日)
- 2017-06-19 (月)
- 山行報告
2017年6月18日にI西、K井、mizuki、konの4人で栃木の高原山を源頭とする鹿股川にあるスッカン沢・桜沢に沢登りに行って来た。スッカン沢の名前の由来はこの水が高原山のカルデラ跡を水源とし、鉱物や炭酸等の火山の成分が多く含まれていて辛いため「酢辛い沢」と呼ばれ、今の「スッカン沢」になったそうだ。また鉱物や炭酸等の火山の成分によって川は「スッカンブルー」といわれる青い美しい色をしている。また隣の桜沢とともに多くの美しい滝がありとても楽しめる沢だった。kon
(今回のコースタイム:山の駅たかはら5:50~(八方ヶ原線歩道経由)~7:00スッカン沢入渓~7:25雄飛ノ滝~7:40仁三郎ノ滝~(一部雄飛の滝線歩道経由)~8:30桜沢出合~8:35咆哮霹靂ノ滝~9:35雷霆ノ滝~11:05おしらじノ滝~11:30県道56号線~11:50山の駅たかはら)
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